2025.10.01 08:00

世界最高の「デジタルノマド」ビザ、1位はスペイン 日本も生活の質で高評価

スペイン南部セビリアのスペイン広場(Mistervlad/Shutterstock)

スペイン南部セビリアのスペイン広場(Mistervlad/Shutterstock)

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)以降、高速インターネットの普及やリモートワークの定着などにより、新たな文化体験と質の高い生活を求め、異なる国で働くことを選ぶ人の数が急増している。現在、世界各国が運用している「デジタルノマド」ビザ(査証)の91%が2020年以降の5年間に導入されたもので、各国が近年、こうした高技能労働者を積極的に誘致しようとしていることが分かる。

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現在では世界64カ国がデジタルノマドビザを運用しており、行き先を決めるのは難しい。充実した社会基盤や税制に関する法的な明確性を備え、質の良い生活を享受できる国はどこなのだろうか? 英コンサルティング企業グローバル・シチズン・ソリューションズ(GCS)による報告書は、デジタルノマドとして暮らす国を選ぶ際の参考になるかもしれない。

世界64カ国のデジタルノマドビザには共通点が

分析対象となった64カ国のデジタルノマド向けビザ制度はそれぞれ異なっているが、共通する傾向も見られる。

● これら64カ国のデジタルノマドビザの過半数(66%)は、標準で1年間の滞在許可を与えている。滞在期間の延長が可能な国もあるが、別の種類のビザを取得しなければならない国や、一度出国して更新手続きを取った上で再入国することによってのみ更新が可能な国もある。台湾、コロンビア、ノルウェーなどは、2~3年といった長期滞在可能なデジタルノマドビザを発給している。

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● 評価対象となった国のうち、58%はすべての国籍の外国人にデジタルノマドビザを提供しており、欧州連合(EU)、欧州経済領域(EEA)、スイス以外の国籍の外国人を対象としていた国は4分の1弱だった。16%は対象を特定の国籍に限定し、3%は職業に制限を設けていた。

● 重要なのは、デジタルノマドビザで滞在後、将来的に市民権を取得しようとする外国人にとって、永住権につながる制度はほとんどないという点だ。例外は、スペイン、ギリシャ、チェコのみとなっている。ほとんどの国は一時的な居住しか許可していないが、ポルトガル、イタリア、ドイツ、オランダ、ノルウェー、カナダ、ブラジル、メキシコ、エクアドル、エルサルバドル、ウルグアイなど一部のデジタルノマドビザでは長期的な居住の道筋が用意されている。

64カ国のデジタルノマドビザは税制面で大きく異なる

デジタルノマドにとって課税は複雑になりがちだ。デジタルノマドは国を移動し、異なる課税規則にまたがって活動する傾向があるため、どこでどのように税金を納めるべきかを理解するのは困難だ。

これも地元住民の敵意を生む要因の1つだと言われている。一時的な居住者は家賃や生活費に高額を支払う余裕があるため、現地の物価を高騰させ、地域のサービスを利用しながら税金を一切納めることなく国外へ去ってしまうからだ。

一部の国ではデジタルノマドに対して優遇税率を設け、国際的な人材を誘致する手段としている。現在デジタルノマドビザを導入している64カ国の中で、20%はデジタルノマドが税金を一切支払わなくても良い税制環境を設けており、53%は国際課税政策を採用している。スペイン、インドネシア、アイルランドなど一部の国では、デジタルノマド向けに有利な税制優遇措置を導入している。

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翻訳・編集=安藤清香

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