比較的高収入なデジタルノマド
多くの国はデジタルノマドビザを単なる観光ビザとしてではなく、移民政策の一環として運用している。一定の国に比較的長期間滞在することを志向するデジタルノマドが増える中、受け入れ国側も優秀な人材を引きつけるために、家族の帯同も含め、地域社会に溶け込みながら長期滞在することを求めるようになりつつある。GCSの調査によると、デジタルノマドの79%が年間5万ドル(約750万円)以上を稼いでおり、平均年収は12万4416ドル(約1860万円)だ。
GCSのランキングでは、手続きの難易度(オンライン申請の可否など)、市民権取得の可能性と移動性、税制、経済性(生活費、コワーキングスペースの料金、国の税率など)、生活の質(医療、環境汚染、購買力、英語の通用度など)、技術基盤の充実度(インターネット接続環境など)の6つ指標を基に、デジタルノマドビザを運用する64カ国を格付けしている。GCSのパトリシア・カサブリ最高経営責任者(CEO)は次のように説明した。「これを基に64カ国を対象としたランキングが完成し、デジタルノマドにとって最も魅力的な国が判明した。当社のランキングは単に費用対効果やビザの有効期間だけでなく、デジタルノマドとしての生活を充実させるために必要な包括的な環境を評価基準としている」
項目別で見た世界最高のデジタルノマドビザ
このランキングでは特定の指標に基づいて、デジタル ノマドビザを運用する国を格付けしている。
生活の質が高いデジタルノマドビザ発給国
生活の質が高いと評価された上位10カ国のうち8カ国を欧州勢が占めた。上位から順に、オランダ、ノルウェー、アイスランド、オーストラリア、ドイツ、エストニア、日本、スペイン、クロアチア、チェコとなっている。
技術基盤が充実したデジタルノマドビザ発給国
上位から順に、フランス、アイスランド、アラブ首長国連邦(UAE)、スペイン、韓国、台湾、オランダ、カナダ、ルーマニア、タイがトップ10を占めた。フランスのビザは「デジタルノマドビザ」とは呼ばれていないが、デジタルノマドが申請可能な1年間の長期滞在ビザを発給しており、延長も認められている。
経済性の高いデジタルノマドビザ発給国
インド、エクアドル、マレーシア、コロンビア、ナミビア、南アフリカ、アルメニア、モーリシャス、セルビアが順に上位10カ国を占めた。
税制優遇措置が充実したデジタルノマドビザ発給国
上位から順に、UAE、セイシェル、バハマ、セントルシア、バミューダ、キュラソー、ベリーズ、アンギラ、バルバドス、ドミニカと、中米のカリブ海諸国が多くランクインした。
市民権取得と移動性に優れたデジタルノマドビザ発給国
スペイン、チェコ、ギリシャ、オランダ、ポルトガル、ドイツ、ラトビア、イタリア、ウルグアイ、カナダと、欧州諸国が大半を占めた。
手続きが簡素化されたデジタルノマドビザ発給国
セイシェル、セントルシア、モンテネグロ、バミューダ、カナダ、アルメニア、アルバニア、エクアドル、キュラソー、オーストラリアが上位10カ国に入った。
世界最高の「デジタルノマド」ビザ総合ランキング
1位 スペイン
2位 オランダ
3位 ウルグアイ
4位 カナダ
5位 チェコ
6位 ポルトガル
7位 フランス
8位 UAE
9位 ドイツ
10位 マルタ
ランキングが示すように、デジタルノマドビザの選択肢の幅広さは、デジタルノマド現象が定着しつつある証拠だ。実際、GCSのラウラ・マドリード・サルトレット博士が指摘するように、「かつては特殊なライフスタイルの選択肢だったデジタルノマドは、経済を推進する主流の生き方へと進化した」のだ。


