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2025.09.28 16:00

「キモっ」文化が恋人関係に発展する芽を摘む──心理学者が指摘する「2つのパターン」

Shutterstock.com

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今日のデート文化は“レッドフラッグ”と“グリーンフラッグ”に支配されている。

それはほとんど失恋からあなたを守るためにデザインされたフレームワークで、相性を判断するもののように感じられる。レッドフラッグは潜在的な危害や相性の悪さを警告する。グリーンフラッグは、積極的に耳を傾け、明確にコミュニケーションをとり、境界線を尊重する、あるいは共感や感情面で対応する能力を持つなど、些細だが意味のある行動が見られるときに現れることが多い。

表面的には、このシステムは実用的に見える。恋愛関係を模索する上で、効率と明瞭さを約束してくれるように感じられる。だがこの基準が厳しすぎると、すべてのやり取りがテストになってしまう。あらゆる行動が潜在的なリスクの兆候か、有望な兆候かのどちらかになってしまう。

多くの人にとって、レッドフラッグは「ick(イック)=『キモっ』という即座に抱く嫌悪感」を感じることと同義だ。

イックは些細な行動や癖、時には笑い方や仕草、好みの表現など取るに足りないことに対する突発的で直感的な反応だ。

イックで特徴的なのは、それがいかに即座に広まるかということだ。SNSやTikTok上では現在、人々が自分の「イック」を披露し、共有する風潮が見られる。これにより、一時的な不快感が許せない行為として文化的に広く共有されるようになった。

このように「イック」は個人的な印象以上のものになっている。それは人を選り分けるための集団的なレンズへと変容し、好奇心や真のつながりを育むチャンスを狭めている可能性がある。

思い込みの広がり

あなたの意図が明確であっても、思い込みがデートする相手の選択を左右することはよくあり、それが認識と現実のギャップを生むこともある。

マッチングアプリTinder(ティンダー)が2024年に実施したグリーンフラッグ調査によると、男性と女性では恋愛に求めるものが違うという思い込みを男女ともに持っていることが多いことがわかった。

米国、英国、オーストラリア、カナダに住む異性愛者の独身者8000人を対象に行われたこの調査では、若い人はグリーンフラッグをレッドフラッグと誤解し、典型的な方法で意図を見誤りがちであることがわかった。

65%の女性が、男性はカジュアルな交際を求めていると考えていたが、調査に参加した男性でカジュアルな交際を求めている人の割合は29%にとどまった。男性も女性も有意義な関係や対等なパートナーシップを望んでいると答えている(男性では78%、女性では84%)。だが誤解や思い込みがそうした思いの一致を妨げていた。調査では、目標や願望が参加者らが思っているよりもはるかに重なっていることを示した。

実用的で役に立つが、裏目に出ることも

この「思い込みのギャップ」は重要なことを示している。

相手が実際に話していることに注意を向けるのではなく、相手についての最初の思い込みを中心にストーリーを構築してしまうために、何かを発展させるチャンスを逃してしまう可能性があるのだ。

調査が強調しているように、このことが「思い込みの広がり」を生み出している。私たちは人を複雑なものとして見るのではなく、自分の思い込みを確認するための証拠を探しながら、行動のチェックリストでふるいにかけているのだ。

自分が我慢できないことや、パートナーには絶対こうあっては欲しくないことを正確に知ることは実用的であり、役に立つことも多い。しかし、このアプローチは時として裏目に出ることもある。

「イック」文化がつながりを生み出すのに役立つ以上に、“つながりを奪う”2つのパターンを紹介しよう。

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翻訳=溝口慈子

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