建物は完成したら終わりじゃない
そしてこの革新的なコンセプトを建築として具現化するのが、冒頭にも紹介した建築家・永山祐子氏だ。プロジェクトの総合監修を務める氏の設計哲学は、Sumuが追求する本質と合致している。
「建物は完成したら終わりじゃない。むしろ、後から別の人がリノベーションすることも想定して設計すべきです。私の建築を誰かがリノベーションしたらどうなるか、想像するだけでワクワクします」
固定から可変へ、所有から利用へ、そして競争から共生へ——。
Sumuが体現しようとしているのは、建築だけでなく、日本のビジネスモデル全体の転換とも言えるだろう。
人口減少時代の日本において、従来の大量生産・大量消費型のビジネスモデルは限界を迎えている。しかし、サービスデザインの手法を活用し、ユーザーの真のニーズに応え、多様なステークホルダーと協創し、社会課題の解決に貢献する——そんな新しいビジネスモデルに、新たな可能性も見えてくる。
永山氏の問いかけが、再び思い起こされる。「それが本当に21世紀の暮らし方に合っているのか」——Sumuという小さな文字たちが自由に歩き回るように、日本のビジネスもまた、ユーザー起点の新たな一歩を踏み出そうとしている。


