循環型価値創造のモデルを目指して
Sumuのもう一つの特徴は、190社以上が参画するAirbnb Partnersという巨大なエコシステムを活用した「オープンイノベーション」の実践だ。
Airbnb Partners事務局を務めるCCCMKホールディングスの中濱瑛司氏は、「Sumuは、このエコシステムから生まれた新しい取り組みです。今後も多くの企業がこのプラットフォームを活用し、新たな価値創造にチャレンジしてほしい」と、その意義を語る。
興味深いのは、参画企業の多様性だろう。大手企業からスタートアップまで、規模も業種も異なる企業が、それぞれの強みを活かしながら協業している。いずれはそこに日本の伝工芸やこれまで旅や暮らし、不動産開発などの事業に携わってこなかった業界にも、その門戸を開いていく構想があるという。
プロジェクトを統括するADDReC代表の福島大我氏が描くさらに踏み込んだビジョンには、イノベーションをして終わりではない、「つなぐ」ことへの思いがある。
「Sumuで得られる売上によって利益を得た企業には、Sumuというプラットフォームでチャレンジをしたい地域の企業やスタートアップに再投資をしてもらう。そうしたエコシステムの構築に向けて、京都信用金庫さんとのアクセラレーションプログラムなどもこの秋スタート予定です」
Sumuは、単なる利益追求を超えた「循環型価値創造」のモデルを目指す——そこには、1社で利益追求をし、課題解決をしていくことへの「限界」に対する思いがある。福島氏が2011年の東日本大震災で仮設住宅建設に携わった経験、そして2024年の能登半島地震での危機感が、プロジェクト推進のひとつの燃料となっているのだ。
「東日本大震災では建築業界のさまざまな企業が協力して復興に注力しました。しかし、あれから10数年、能登の復興はあの時のようには進められなくなってしまった。建築、不動産だけでは、解決できないことが増えてきているのです。平時は観光客が利用し、災害時には被災者の避難所になる。住み慣れた家でなくても『暮らすように旅する』体験を可能にしてくれる柔軟な『居場所』ができれば、日本で過ごす心的安全性を構築していけるのではないか。そして、そういう未来を、次の世代に渡したいと思っています」


