2025.09.28 12:00

悲しみを乗り越える「グリーフ・トラベル」、メンタルヘルス専門家が語るその効果

Shutterstock.com

旅行中にすべきこと

ひとり旅でも、信頼できる誰かと一緒の旅でも、ちょっとした「儀式」のようなものを新たな習慣として身につけることが、感情の面に対する旅のメリットをより大きなものにしてくれる可能性があるという。

advertisement

ザケーリがすすめるのは、大切な人に宛てて手紙を書くことや、1日1行と決めて日記を書くこと、あるいは散歩をしながら、相手に話しかけるようにそれらの言葉を声に出してみることなど。

「私のクライアントの中には、(そうした儀式のようなものとして毎日必ず)プレイリストを作る人、何らかの意味がある写真を撮る人、毎晩キャンドルを灯すことにしている人たちがいました」と話す彼女は、「複雑なものである必要はありません。自分がしたいと思うことでいいのです」とも述べている。

一方、サルツはこうした新たな習慣を身につけることの重要性に同意するとともに、記憶について、こう語っている。

advertisement

「記憶に関する新たな習慣は、失っても存在しているという考え方を持つことを助けてくれます。亡くなった人たちの人生をたたえ、あなたがその人たちと共有したものに感謝し、そして手放すための方法になります」

旅の後にすべきこと

自宅に戻ることは、楽しいことではないかもしれない。ザケーリは、「前進したのに、後戻りしてしまったように感じるかもしれません」と話す。

「ですが、そうではありません。自宅に戻って再び悲しみを感じるようになったとしても、癒されていないわけではありません」

2人の専門家はどちらも、悲しみは一度の旅行で「解消」されるものではないとして、ジャーナリングやサポートグループへの参加、身につけた新たな習慣などを継続していくことをすすめている。サルツは、「悲嘆(のプロセス)は長く、浮き沈みのあるプロセスです」と語る。

「再び、適応するための調整が必要になるかもしれません。ですが、喪失に対する新たな視点を得ること、悲しみをより受け入れやすいものにしてくれることもあるかもしれません」

ザケーリは、「悲しみ続け、そして生きていても、同時にそうしていてもいいのです」と述べている。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事