リーダーシップ

2025.09.28 14:00

従業員の「静かな崩壊」を防ぐためにリーダーができること

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充実した研修の機会を提供する

AI時代に確信が持てることがあるとすればそれは、「何ひとつ確信が持てない」ことだ。企業は、「今後10年で求められる技術スキルとは何か」とか、「そのスキルを身に付けるべき従業員の割合はどのくらいか」といった疑問に、自信を持って答えることができない。その結果、雇用側と従業員のどちらも、スキルギャップへの不安を抱え、静かな崩壊の原因をくすぶらせることになる。

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McKinsey(マッキンゼー)が2025年1月に発表した調査リポートによると、リーダーの46%が「スキルギャップは、AI導入の前に立ちはだかる大きな障害だ」と回答している。また、タレントLMSの調査では、前年1年間に研修を一切受けていない従業員は、自身の業務について不安を感じる確率が140%高くなることが明らかになった。

充実した内容の研修を受ける機会を提供すれば、技術的な面で従業員の準備が整うだけでなく、従業員エンゲージメントも向上する。AIエージェントは、個々の学習者に見合った優れた研修モジュールを提供することで、従業員の目標と、雇用側の期待の隔たりを埋めることができる。

AI学習エージェントは、例えば、データアナリスト向けにパーソナライズされた学習課程を設定できるだろう。プロンプトエンジニアリングに関する双方向的な個別指導プログラムから始めて、実務に即した事例に進み、習熟度確認テストの回答結果とパフォーマンスに応じて、学習内容を柔軟に調整するといった具合だ。

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マッキンゼーは、従業員が最新ツールを利用し、試せる時間を十分に与えることを推奨している。また、オープンソースコミュニティへの参加機会を提供し、協力的な文化を促進することも推奨している。新入社員だけでなく、既存従業員のスキル向上も重要であることを忘れてはならない。

リーダーは、ソフトスキルを軽んじてもならない。AIが人間の作業を代替することがますます増える中では、共感力やコミュニケーション力、協調性といった人間中心のスキルが、プロフェッショナルと組織を定義づけることになる。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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