近頃は、「静かな」で形容される職場トレンドが目立っているようだ。
数年前には、多くの人が一斉に仕事を辞め、「大退職時代(Great Resignation)」が到来した、とメディアが騒ぎ立てた。企業にとっては懸念すべき事態だったが、幸いなことに、離職率はまもなくコロナ禍以前の水準に戻った。そうして、ニューノーマルが定着した。
現在、職場を脅かしているさまざまなトレンドは、より「静か」で、じわじわと広がり、長期的には影響がより大きい可能性があるものだ。そしてその最新版が、「静かな崩壊(quiet cracking)」という現象だ。
これは、自分が正当に評価されておらず、働き過ぎていて、不幸だという気持ちが従業員の間にまん延している状態だ。彼らは退職届を提出することなく、心の中で密かに苦しんでいる。その姿はまるで、穏やかに池に浮かびながら、水面下で必死に足を動かしている鴨のようだ。
この「静かな崩壊」という用語を提唱したのは、学習用ソフトウェア会社TalentLMS(タレントLMS)だ。同社の調査によると、何らかの形で静かな崩壊を経験している労働者は半数を超えている。職場で「頻繁に」または「常に」不満を感じている人は20%、「時々」感じている人は34%だ。
組織のリーダーは、こうした傾向を見抜いて対処しなくてはならない。さもないと、優秀な人材を失うおそれがある。以下では、従業員が「静かな崩壊」に至る原因と、その対応策を紹介しよう。



