AI

2025.09.29 10:00

2026年に向けて備えるべき「AIトレンド8選」──AIが日常を作り変え始める年

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5. AI主導の地政学と国際貿易への影響

今や各国政府は、AIが国際舞台で生み出す優位性――経済生産性から戦争遂行能力に至るまで――を十分に認識している。選挙に影響を与えることを狙ったプロパガンダには合成コンテンツが広く用いられ、AIハードウェアの貿易規制は競合国の競争力を削ぐために活用される。おそらく核兵器を除けば、これほどまでに世界のパワーバランスを攪乱し得るテクノロジーに前例はない。

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各国の指導者はこの点をよく理解しており、2026年には、この技術とそれを支えるデータの拡散を管理しようと、市場やサプライチェーンに対するさらなる操作が見られるだろう。

6. 見えないAI

AIが日常生活の一部になるにつれ、機械化、電化、通信の台頭といった時代を画した変化と同様の性質を帯びていく。つまり、その影響をわざわざ指摘するのではなく、当然の前提として受け止めるようになるということだ。過去10年に生まれた子どもたちは、毎日使うデバイスや機械と自然で人間らしい会話ができることをまったく普通のことと捉えるだろう。

それはもはや「特別な何か」ではなく、「そういうもの」である状態になる。

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7. 医療の日常におけるAI

今年、100年以上にわたり医師の基本的な道具であり続けた日常的医療機器が、AIのおかげで大幅なアップグレードを受けた。新しい聴診器は心拍のリズムを解析し、心疾患などの問題を数秒で検出する。こうした革新は、AIが日常的で一般的な医療手順や実務に統合されることを示している。

AIがすでに医師の病気診断支援、患者回復のモニタリング、新薬開発において日常的に使用されていることを考えると、2026年にはAIの利用が試験段階から一般臨床使用へと移行するもう一つの方法となる可能性が高い。

8. 省エネルギー型AI

AIのエネルギー需要の急増は、最も熱心なAI擁護者にとってさえ無視できないものになりつつある。米国エネルギー省は、2028年までにデータセンターのエネルギー使用量が増加し、国内電力消費の12%を占めるようになると予測している。よりクリーンで持続可能な電力源を見つける必要性は、これまでになく緊急性を帯びるだろう。

2026年には、これはAIをめぐる議論の中心的要素になる。たとえば、膨大なデータを処理する数百万のプロセッサを稼働・冷却するシステム全体にわたる効率化を、AIのイノベーションが牽引する。一方で、ロールス・ロイスが開発している小型原子力発電システムのように、そもそもの発電方法を革新する取り組みも進む。

2026年、これら新興技術が日常の在り方そのものを作り変え始める

AIが急速に進化し続ける中、2026年は、これら新興技術が私たちの日常の在り方そのものを作り変え始める年になる。産業の革新から新たな倫理的ジレンマの創出に至るまで、これからの変化は機会と課題の双方をもたらす。企業、働き手、個人のいずれにとっても、これらのAIトレンドを先取りすることが、今後10年の生存と成功にとって不可欠になる。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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