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2025.10.10 11:00

【寄稿】Global × Claims AIG=グローバルリスクの戦略的パートナー vol.4

AIGグループの世界150以上の損害サービスオフィスとつながるAIG損保。そのグローバルネットワークを駆使し、国内外の経営保険リスクや海外訴訟への対応を担うプロフェッショナルのひとりが、ファイナンシャルサービスセンター長 兼 グローバルサービスセンター長の荒井知紹だ。高度な専門知識と海外のAIGとの密な連携力を武器に、世界を舞台に挑戦する企業を支えてきた荒井が語る、AIGのグローバル損害サービスが誇る独自の強みとは。

※本記事はAIG損害保険による寄稿記事です。


海外訴訟の第一線で培われた、グローバルな保険会社ならではの対応力

「最初に担当した海外の製造物責任(PL)保険事案は、今でも強く印象に残っています」

荒井が、ファイナンシャルサービスセンターに担当者として異動してきた2019年、初めて担当したのはアメリカで提起された訴訟事案だった。問題とされた製品は日本の調理器具メーカーが販売した高価格帯のもの。消費者がケースから取り出す際にケガをして、後遺障害が残ったとして提訴された。

「製品自体に問題がなく、説明書やパッケージも適切だったとしても、アメリカでは高い消費者保護意識からPL訴訟に発展することもあります。陪審員制度により市民感情が判決に反映されやすく、『大企業 vs 一般市民』という構図から、時に日本の常識では考えにくい評決が下されることも。損害賠償金以上に防御弁護士費用が高額になるケースも多く、巨額のコスト負担や長期化する裁判対応への備えが不可欠でした」

日本とは異なる訴訟環境で、現地事情に則した戦略が求められる事案。司令塔となった荒井はお客さまであるメーカーへの対応を担うと同時に、訴訟対応は現地のAIG拠点と密に連携して対応した。このような体制構築が可能なのは、AIGグループが世界150以上の損害サービスオフィスを構え、4,400名以上の損害サービススタッフが在籍するほか、約1,300の提携弁護士事務所や各国の調査・専門機関と連携し、海外で発生した事故やトラブルにも迅速・適切に対応するネットワークを持っているからだ。

お客さまはエンドユーザーが安全に製品を使用できるよう、製品づくりやパッケージ、説明書などに細心の注意を払ってきた。製品への自負がある分、当初は「うちの製品に限って」という戸惑いや申し立てへの感情的反発もあった。荒井はその想いを受け止めつつ、訴訟長期化によって膨らむコストや風評リスク、現地の訴訟環境の難しさを丁寧に説明し、弁護士費用や心理的負担を抑える観点から示談を提案し、解決に導いた。

初の海外PL事案だったが、先輩や上司、グローバルのスタッフからシェアされた豊富な知見を生かし、お客さまからは「あなたに対応してもらって本当によかった」と感謝され、特別な経験となった。

「こちらが結論を押し付けると、お客さまの心は動きません。気持ちや主張を受け止めたうえで、起こり得るリスクや状況を冷静に説明し、AIGの知見を生かした合理的な選択肢を提示しています。お客さまが最善の選択肢にたどり着けるよう、伴走しながら丁寧にガイドする姿勢を心がけています。最終的にはお客さま自身が納得して選択できるよう、“余白”を残すことも大事にしています」

 国際案件の最前線で、「最適解」を探求する

6年たった今も、荒井のスタンスは変わらない。押し付けない姿勢や心情に寄り添った説明など、お客さまとのコミュニケーションの仕方は上司から高く評価され、後進の手本となっている。

荒井は2024年4月より、グローバルサービスセンターでは海外PL保険など、海外訴訟やクロスボーダーな事案に精通する専門領域をリードする。ファイナンシャルサービスセンターでは国内外問わず、企業の経営リスクや情報リスクに対応する経営保険商品の担当もリードする。2つのサービスセンターで40種類程度にも及ぶ多様な商品を扱う。どちらも高度な専門性が求められる部署だ。

現在は8名の担当者を束ね、保険金支払いのマネジメントを担い、新規案件の担当者アサイン、助言を含む案件進行の適切な管理、保険金支払いまでのプロセス確認などを行う。海外事案や高額事案も多く、経営層へのレポーティング業務など、海外オフィスとの連携が日常にある。

荒井のキャリアは2011年、特定派遣社員として旧AIU保険会社(現AIG損保)に派遣されたところからスタートした。当初は自動車事故の簡易事案を担当し、半年後に企業賠償保険、正社員登用後には自動車・火災・傷害医療・賠償保険など幅広い保険を担当してきた実績を持つ。その後、企業賠償の担当者としての経験を経て、ファイナンシャル/グローバルサービスセンターへ。その過程でひとつの転機となったのが、2019年秋にイギリスで行われた1カ月間の研修だった。

研修先となるイギリスの経営保険損害サービスチームでは、ソリシター(事務弁護士)の資格を持つ社員が業務過誤賠償責任保険や役員賠償責任保険の事案を直接担当していた。日本では必要に応じて知見を持つ外部弁護士に意見を仰ぎ、損害サービス担当者が対応する仕組みが一般的なため、その体制には驚いたと荒井は語る。

「当時得た知見として今も大事にしているのが、各国の法律や賠償責任の考え方を積極的に学び、現地と密に連携することです。海外事案に携わる立場として、現地の法律や判例、法実務に関する知識は欠かせません。とくに賠償責任の有無や範囲を判断する際は、保険の適用範囲だけでなく、その国や地域の法的評価を知ることは必須です」

国や地域ごとの法的評価や人々の価値観は異なる。だからこそ、世界各国にいるAIGの損害サービスメンバーと密に連携して相談・情報共有を行い、具体的な対応策を議論することでグローバルな知見を生かした最適な対応を目指している。

「形のない保険商品は、事故やトラブルといった『いざというとき』に初めて、その価値を証明する必要があります。保険が真の役割を果たすときに事故担当者自身がいわば保険の商品へ転化する、この点に大きな意義を感じ、使命感を持って業務に取り組んできました。これまでも、これからも損害サービスの現場で、困っているお客さまに寄り添い、安心できるサービスを提供してまいります」

お客さまと丁寧に向き合い、法律や文化の違いにも真摯に寄り添いながら、「最適解」を探求する荒井。その姿勢は、世界中の拠点と高度な専門性をもつプロフェッショナルが連携するAIGの真髄を体現している。頼れる「人」がいるからこそ、AIG損保は世界に挑戦する企業の強い味方であり続ける。

AIG損保のグローバルリスクマネジメント
https://www.aig.co.jp/sonpo/global


荒井知紹(あらい・ともあき)◎AIG損害保険株式会社 ファイナンシャルサービスセンター長 兼 グローバルサービスセンター長。2011年1月旧AIU損害保険株式会社に入社。国内外の企業系の高額かつ複雑な事案を数多く担当してきた。とりわけ経営保険等の専門性の高い分野において、多角的なアプローチに基づく的確な事案分析により、お客さまを最適な解決に導くことでお客さまからの信頼を得られるスペシャリストとしての地位を確立してきた。現在は現場の責任者として次世代を担う傘下メンバーの育成に注力しながら、精力的にお客さまのリスクマネジメントにも参画し、社内外から高い評価を得ている。

Text by Sonoko Ikeda/ Photo by Yosuke Owashi/ Promoted by AIG損害保険