経済・社会

2025.09.30 14:15

能登のシンボルを「復活」させる 起業家とLIXIL、その技術と建築家

建材だからできる「大量の循環」

「解体される運命にあるものを、いかにつないでいくか。これは私にとっての一つのテーマです」

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と語る永山さんは、現在開催中の大阪万博でふたつのパビリオン設計を担っている。そのうちの一つが「ウーマンズパビリオン」。2020年から21年にかけて開催されたドバイ万博で設計した「日本館」のファサードをリユースしたという画期的な建築だ。

「日本館を設計しているときから、会期が終了すれば、あとはただ解体される運命にあるのは残念だなと思っていました。そして『大量の建築資材を長く有効に使う手段はないのだろうか。建築によって環境に大きな負荷をかけることはなるべく避けたい』と考え続けていました。幸運なことにこの考えに賛同してくれる方々が現れて、この大阪万博でも装いを新たに復活することができました」

永山
永山祐子さん

ウーマンズパビリオンの組子ファサードは27年の国際園芸博覧会でもリユースされることが決まっている。建築のサステナビリティ。黒瓦の話を聞いたとき、永山さんはすぐに「例えば今歩いている道の舗装材に混ぜて使ったり、建築建材に使ったりするなど、大量消費の可能な建築プロジェクトと結びつけることでインパクトのあるアップサイクルが可能なのではないか」と考えたという。

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「質はもちろんなんですが、量で発想するという、いかにも建築家っぽい考え方ですよね。ただ建材だからこそ大量の循環を生み、持続可能な社会を実現する鍵になると思ったんです。それに素材を活かした新たな建材へのアップサイクルと同時に、それに関わる雇用も生まれるのではないか。まさに継続的な展開が期待できると考えたんです」

奥山さんと永山さんの行動は早かった。永山さんの「元々サスティナブルなテーマをとても大切にされている会社さんなので多分、興味を持っていただけるし、展開があるのではないか」という直感で、元々関係のあったLIXIL(リクシル)に黒瓦を送り届けた。建築材料・住宅設備機器業界最大手に「一緒にやりましょう」と話を持ちかけたのだった。

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text by Tomoya Tanimura

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