北米

2025.09.27 08:00

米国政府が10月1日に一部閉鎖の可能性、市場が予測

Samuel Corum/Getty Images

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米国政府が10月1日に一部閉鎖する可能性がある。予測市場のKalshiPolymarketによると、その確率は3分の2とされている。ただし、閉鎖による経済への影響は当初想定されるほど大きくないかもしれない。これは、社会保障、メディケイド(米国の公的医療保険制度)、米国郵便公社など多くの重要な政府機能が閉鎖の対象外となるためである。近年では、議会が政府閉鎖による混乱を一定程度抑える法律を可決しており、政府再開後には公務員に遡及的に給与が支払われることも保証されている。

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閉鎖の影響

それでも、長引く政府の一部閉鎖は公務員の給与支払いを遅らせる可能性がある。職務に応じて多くの公務員は一時休暇状態となるためだ。また、閉鎖は政府契約業者により大きな混乱をもたらす可能性がある。国防や医療の分野は、政府資金に依存し、承認を必要とする度合いが高いため、比較的影響を受けやすい。

他にも、閉鎖が長引けば多くの「非必須」機能が停止される。これには一部の食料支援プログラム、空港の保安、国立公園、中小企業や住宅向けの政府融資の遅延などが含まれる。閉鎖中にどの機能が継続されるかは行政管理予算局が決定するため、その範囲は状況によって異なる。

アクシオスの分析によれば、歴史的に見て政府閉鎖は短期間にとどまることが多い。これは、長期化するほど混乱が大幅に拡大するためである。これまでで最長の政府の一部閉鎖期間は、2018年12月から2019年1月にかけてトランプ前政権下で起こった35日間のもので、国境の壁建設資金をめぐる対立が原因だった。

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経済的影響

米国では、数時間から数日の短期的な政府閉鎖は比較的一般的であり、歴史的に見ても経済への影響は軽微である。これは、給与支払のタイミング次第では公務員の給与が遅れない場合もあるためである。

しかし、閉鎖が長引けば経済への影響は深刻化する。給与遅延は家計消費を妨げる。契約業者は遡及的な支払いが保証されるとは限らず、政府と密接に取引する企業に影響を及ぼす可能性もある。住宅や中小企業向け融資の遅延も、それぞれの分野に打撃を与える。さらに、政府による統計発表も遅れたり中止されたりする可能性があり、インフレや失業率といった金融市場に関わる経済指標が対象となり得る。

今後の見通し

通常、政府閉鎖が発生しても、その期間は短いため経済や株式市場への影響は限定的である。しかし、閉鎖が長引くリスクは常に存在する。1週間以上続けば、経済成長に実質的な下押し圧力をかけ、より広範な不確実性や混乱を引き起こす可能性がある。

したがって、注視すべきは「閉鎖が発生するかどうか」ではなく「どれだけ長く続くか」だ。現在、Kalshiは閉鎖期間を5日間と予測しており、その見積もり期間は上昇傾向にある。この期間がさらに長期化するようであれば、経済リスクも高まるだろう。ただし、最終的な交渉によって閉鎖自体が完全に回避される可能性も残されている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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