「課題解決一発アイデア」の企画プロセス
こうしたある種突飛な、しかしだからこそ有効な“課題解決一発アイデア”のためには、どんなプロセスが必要なのだろうか?
「What to say→How to say」のように定型化はされていないのだが、こうした事例を着想し実施するには、2つの「いかがなものか?」と闘う必要があるだろう。ひとつは、合意形成を取り実施する時の外部からの「いかがなものか?」。もうひとつは、自身で着想する時の内なる「いかがなものか?」である。
「Lucky Yatra」はインドの事例のため、日本とは事情が異なるとは思われるが、とは言っても国有鉄道の案件だ。公的なものに宝くじの要素を取り入れるとなれば、関係者の誰かが「いかがなものか?」と訝しんでくることは、容易に想像できる。
また、内なる「いかがなものか?」も発生するだろう。あなたがこの案件のプランナーだとして、このアイデアを思いつけるだろうか?あるいは、いったん脳内に浮かんだとして自分では打ち消さず、チーム内やクライアントに対して、実際に提案するまでに持っていけるだろうか?
宝くじというアイデアを考え始める時に、脳内の内なる「いかがなものか?」が発動してしまい、アイデアが形にならない可能性も低くはないだろう。例え「チケットを宝くじ化する」ということ自体に前例はあったとしても、それを社会課題に活用しようとはなかなか思えない。少なくても筆者自身は思いつかない可能性が高いが、この事例では内なる「いかがなものか?」との闘いにも勝利した。
カンヌライオンズを見ていると、日本の事例からは総じて”キマジメ過ぎる”と感じることが少なくない。この手のアイデアはしかめ面をして難しく考えても出てきづらい。リラックスして、なんなら少しヘラヘラしながら考えてみる。そんな姿勢も、試してみる価値がありそうだ。


