私たちは2050年も今のようにコーヒーを楽しめるだろうか?

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企業は、資金提供に限らず、責任ある調達の約束、技術支援、市場アクセスなど多様な形で関わることができ、農家とともに劣化した土地を再生し、気候変動に強い生産環境を築いていくことが可能になります。

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このモデルが意味するのは、単なる支援ではなく、自然と産業の価値を同時に高める協働の枠組みです。持続可能な未来のためのサプライチェーンは、もはや企業単体では守れません。業界・国境・セクターを越えた「共同投資」という新たなアプローチを、日本でも育てていく必要があります。

消費者から、変革の触媒へ

気候変動は、遠くて抽象的な話に感じられるかもしれませんが、コーヒーは私たちの多くの暮らしの一部です。一人ひとりが日々の一杯について考えること──たとえば、生産地の森林保全や農家の暮らしを支える、持続可能な豆を選ぶ。こうした選択が、未来の気候レジリエンスにつながります。

ペルーのアルトマヨ地区(c)Alex Bryce
ペルーのアルトマヨ地区(c)Alex Bryce

日本は世界有数のコーヒー消費大国であり、アジアでは最大の市場です。その影響力は大きく、持続可能なコーヒーの未来を形づくるうえで、日本企業が担う責任もまた、決して小さくありません。

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日本の企業には、責任ある調達にとどまらず、そうした気づきを消費者に広げていく力と立場があります。すでに調達地との深いネットワークを持つ日本の商社、小売、飲料ブランドは、NGOと連携し、再生型調達のランドスケープに共同出資する理想的なパートナーです。資源を持ち寄り、共通のサステナビリティ目標に向かって連携することで、自然を基盤としたソリューションをスケールさせながら、供給の安定性も確保できるのです。

製品や価格、品質で競争するのは当然のこと。でも、サステナビリティにおいては「協調」が優先されるべきです。より公正で、しなやかなバリューチェーンを築くことは、企業の差別化要素ではなく、業界全体で共有すべき新しい標準です。

そして、コーヒーを愛するビジネスパーソンは、次のように問いかけるべきかもしれません。

「私が選んでいるコーヒーブランドは、2050年以降も今と変わらず誰かの一杯になれているだろうか?」と。

文=アメリア・ジュール

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