5年後の都市をどうするべきか
茂谷:最後に「5年後の都市体験」について、考えを聞かせてください。ちょうど5年後にあたる2030年に、都市の体験でやりたいこと、あるいは望む都市体験はありますか。
布施:自分勝手な希望で言えば、喫煙所が増えて欲しいですね。
今から5年前を振り返れば、健康増進法が改正されて屋内は原則禁煙になりました。一方、この5年間はキレイになり切れていない印象もあります。
コロナ禍での居酒屋は店内だけの営業だと換気や人の密度の問題があったため、店の前に机と椅子を出していました。今は規制がありますが、店側としては店外に椅子と机があった方が集客できるので、その規制を無視しているところもあります。
都市のルールと人々の欲望が衝突している状態と言えますが、それが5年後に一切なくなっているのも寂しいですね。個人的にはそういった衝突を展覧会で再現しようとしています。
大森:僕はテレビ東京の中でも、『家、ついて行ってイイですか?』という番組が好きで。街中の人に「家ついて行ってイイですか?」と聞いて、その人について行くというシンプルな番組ですが、ついて行った家の中に入った瞬間に、宇宙のような空間が広がる感覚を受けます。その感覚を都市にも持ち込みたいですね。
猥雑さだけではなく、自分にとってわからないもの、想像できないものにあふれている都市は面白いのではないかと。僕自身、都市空間を活用するとなると、他人の家のようなパーソナリティが無条件に染み付いている場所を活かしていきたいですね。

伊藤:僕はとにかく、5年後は茂谷君と大きい仕事したいなと。
人の家の中がまったく違う宇宙に見えるような感覚は、都市を微生物の目線で見たときに感じたことと似ていますね。人間しかいないような環境に見えても、天井や床、水回りにはまったく異なる生き物たちが存在していて、それを認知すると都市の見方も変わっていくように思います。
現在の都市はある意味で均質化してしまっている側面もあるはずなので、生物多様性と微生物の認知が広がっていくと、今ある都市の形を変えなくても見え方は豊かになる可能性があります。仮想現実といったテクノロジーも活用できれば面白さは増していくと思うので、都市体験に携わる茂谷君とはぜひ一緒に仕事をしたいですね。

茂谷:最後をキレイに締めてもらい、ありがとうございます!


