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2025.09.27 13:15

“嘘”と“本当”の境目とは? 布施琳太郎×大森時生×伊藤光平が語る未来の表現

大森時生(以下、大森):僕はテレビ局員のため、テレビというメディアを中心に考えることが多いですね。ただ、メディアを横断するときは、はじめにそれぞれのメディアの特性を自分の中で噛み砕いて、各メディアの最適な見せ方を考えるようにしています。

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例えば、展覧会は展示物を目の前で見て、触ったり、匂いを感じたりする特性を持つメディアだと考えます。

大森時生(テレビ東京 プロデューサー)
大森時生(テレビ東京 プロデューサー)

茂谷:映像は一方向で進んでいきますが、展覧会は入退場も回るのも自由で、一覧性もあったりしますね。

大森:2024年に行方不明に関する展覧会である「行方不明展」を開催したときに、メディアの違いによってテレビとは全く違う考え方になると、自分の中で腑に落ちた感覚はありましたね。

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人間の行動は本来、そこまで理に適っていないはずですが、編集された映像ではある程度一貫性を持たせられます。一方で展覧会では、実際に展示物が目の前にある迫力ですべてを超越する説得力を生むようにも思え、映像ではできない表現や映像では届かない地平に到達できるのではないか、という可能性も感じました。

伊藤光平(以下、伊藤):僕が最も向き合っている論文誌というメディアは、不可逆的なメディアとも言えます。

複数の研究者から査読を受け、受理された後には取り下げや内容修正などは容易にはできません。非常に堅いメディアとも言え、他のメディアに研究内容を掲載いただくときは、記述が細かくなったりしまったり、指摘を回避したくなってしまったりと、慣れるまでに時間がかかってしまいました。

一方、会社としては都市の微生物をいかに豊かにしていけるかというビジョンがあるため、様々なメディアで表現をしていくことで、自分たちの掲げるビジョンの輪郭を形作っていけると考えています。

伊藤光平(BIOTA 代表取締役)
伊藤光平(BIOTA 代表取締役)

フィクションとノンフィクション

茂谷:次は「嘘と本当、ストーリーとナラティブ」というテーマで聞かせてください。表現する際、フィクションとノンフィクションの間の往復、あるいは両方にまたがったり、意図的にどちらかからスタートしてみたりしていますか。

茂谷一輝(TOKYO NODE LAB)
茂谷一輝(TOKYO NODE LAB)

布施:そもそも“嘘”と“本当”という考えは、言語的だと感じますね。

例えば、窓から遠くを見ていても、その窓が実はディスプレイで、見ていたのは風景ではなく映像だということがありえます。ところが、嘘か本当と言えば、それは言語的な問題でしかないはず。想像と異なることに直面した際も、体験自体には嘘や本当という区別はないと考えています。

個人的には、そんな言語的な区分から外れた体験やシチュエーションを作ることにこそ興味がありますね。

大森:僕はフェイクドキュメンタリーを作っていて、常にいかに“本当っぽさ”を出せるかを模索しています。その中で、最近はレイヤーを増やすことが最も“本当っぽさ”を出せるのではないかと考えています。

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文= 小谷紘友 写真=加古伸弥

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