個人の成果だけに基づく昇進は組織を傷つける
成果のデータだけで従業員を昇進させると、次のような事態が起こる。
(1) 有害な職場文化を助長する。なぜなら、彼らは古いリーダーシップ手法に頼り、これまでの上司の行動をそのまま模倣する傾向があるからだ。
(2) そもそもリーダーとして適性のない人材を登用してしまう。彼らにとって重要なのは成果を出し、売上目標や顧客獲得を達成することであり、人への配慮や共感力に基づくリーダーシップではないからだ。
(3) KPIの達成方法しか知らないため、マネジメントやリーダーシップという未知の世界で混乱に陥る。そして、次のような誰も教えてくれない課題に直面する。
・チーム内の緊張や対立を調整すること
・変化の時期に、プレッシャーを受けながらチームをリードすること
・困難な対話を行うこと
・才能を見抜き、育成すること
・長期的かつ大局的に考えつつ、現場で手を動かすバランスを取ること
・上司のマネジメント
・その他、昇進前の研修や実践を経なければ学べないこと
私はキャリアの非常に早い段階で、しかも若くしてマネジメントに昇進した。最初の昇進は21歳になった直後、入社からわずか4カ月未満でのことだった。個人として一貫して成果を出していたことに加え、チームメンバーの指導、主体的な問題解決、部門内での研修など、リーダーシップの素質を示していたからだ。
幸運だったのは、私の上司やリーダーシップチームが私の可能性を信じ、特に上司が認定コーチでもあったことだ。彼は私が成功できるように徹底的に指導と支援を行ってくれた。その結果、わずか5カ月後にはさらに上級のマネジメント職に昇進できた。これは、単に業績だけでなく、すでに示していたリーダーシップスキルを評価されたからである。加えて、上司が直接コーチングを行ってくれたことも大きかった。
一方で、その後別の会社でより高い役職に就いたとき、私は大きな失敗を犯してしまった。今振り返れば、それは十分な育成や指導があれば防げたものだった。その職場は、直属の部下や上層部の両方の面で、私にとって極めて有害な環境となり、私は最終的にその役職を辞めた。
ここで私が言いたいことは何か?
高い成果を出す従業員に、ただリーダーシップを押し付けてはいけない。売上目標を上回ることと、強力なブランドや健全な職場文化を築くことは必ずしも直結しないからだ。リーダー候補が不足しているときは特にその誘惑に駆られるかもしれないが、そうすることで長期的には組織を傷つけてしまう。
では、どうすべきか?


