人々の生活の質を測るには、1つのランキングだけでは不十分だ。しかし、データは正確な指標を与えてくれる。以下で、エコノミスト誌の年次ランキングによる世界で最も豊かな国々を見ていこう。
豊かさとは、主観的な概念だ──特に地理的に考えた場合は。さまざまな国や都市を訪れれば、旅行から外食、土産物の購入に至るまで、同じものでも驚くほど価格差があることに気づく。価格は通常、住民の豊かさに左右されるが、観光地としての人気も影響を及ぼす。そこで疑問が生じる。世界で最も豊かな国はどこだろう?
2025年に真に豊かな国がどこかを明らかにするため、エコノミスト誌は、3つのGDP指標を用い、178カ国のランキングを作成した。
(1) 1つ目の指標は、市場為替レートに基づく(ドル換算の)国民1人当たりGDP。単純でわかりやすく、広く引用される指標だが、国ごとの価格差を無視している。
(2) 2つ目の指標として、購買力平価(PPP)を用い、現地の物価水準に基づいて所得水準を調整したものがある。これにより、生活水準のより現実的な指標を得ることができるが、労働者の勤労時間と余暇時間については考慮されていない。つまり、就労者の割合や、富を得るためにどれくらい働いているかは考慮されていない。
(3) 最後に、現地の物価と労働時間を組み合わせた指標。その国の住民、そして訪問者にとっての豊かさをより包括的かつ現実的に捉えるものだ。
このランキングでは、一部の国を除外しているため、掲載されているのは178カ国のみだ。例えばバミューダのように、規模が小さすぎて評価できない国もある。また、正確なデータを入手することがほぼ不可能な国もある。例えばアイルランドは、「租税回避によって計算がゆがめられている」。またルクセンブルクは、隣国のドイツ、フランス、ベルギーから通勤者が押し寄せるため、所得水準が水増しされている。さらに、とりわけ独裁国家では、単純にデータが信頼性に欠けるため使用できない。
これらの指標がどのように作成されたかについては、エコノミストが詳細な手法を公開している。



