地球に似た系外惑星を見つけ出す
ESAの宇宙望遠鏡「COROT」(2006 - 2013年)は、トランジット法に特化した初めての宇宙機であり、2007年に系外惑星「CoRoT-1b」と「CoRoT-2b」を発見した。さらに2009年には、岩石や金属を主成分とする地球型の系外惑星「CoRoT-7b」の観測に初めて成功している。ただし、この天体は溶岩の海を持つと考えられ、大気は確認されなかった。結果的にCOROTは、34の系外惑星と1600以上の系外惑星候補を見つけ出した。
COROTは地球周回軌道上に配置されたが、NASAの「ケプラー」(2009 - 2018年)は、地球とともに太陽を周回しながらトランジット法によって恒星の光の変化を観測した。9年間にわたる運用期間中に53万506個の恒星を観測した結果、2784個(執筆時)の系外惑星を新たに発見。そのなかには系外惑星「ケプラー452b」も含まれている。太陽に似た恒星のハビタブル・ゾーンを公転するこの惑星は、地球よりも半径が1.6倍大きいため「スーパーアース」とも呼ばれている。表面温度はマイナス8度から17度と予想され、地球に似た環境を持つ可能性が極めて高い。ただし、地球からは1400光年離れている。
2018年にはケプラーの後継機として、NASAが「TESS」(運用中)を打ち上げた。TESSは地球周回軌道を航行しながら、全方向の宇宙をスキャンしつつ恒星の光度変化を観測し、これまでに693の系外惑星と、7699の系外惑星候補を発見している。2020年には地球から101.6光年離れた恒星「TOI-700」のハビタブル・ゾーンに、地球と同サイズの系外惑星「TOI-700d」を発見した。
また、2015年にケプラーは、赤色矮星「K2-18」のハビタブルゾーン内に系外惑星「K2-18b」を発見している。この天体を2019年にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が再観測したところ水蒸気の存在が確認され、さらに2025年には、その大気中に有機硫黄化合物「ジメチルスルフィド」が含まれていることが判明。この物質は植物プランクトンからも放出されることから、生命の痕跡ではないかと疑われている。
また、地球から39光年の距離にある恒星「トラピスト1」は、「太陽系2.0」と呼ばれるほど環境が整っているが、2016年にラ・シヤ天文台(チリ)の「トラピスト望遠鏡」によって観測された際には、そのハビタブル・ゾーンに3つの系外惑星「トラピスト1b」「1c」「1d」が発見され、後にNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡によって「トラピスト1f」や「トラピスト1e」など、さらに4天体が同領域内に見つかっている。


