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2025.09.25 08:00

金と株が同時に最高値更新、「めったにない現象」の理由

Matt Hunt/NurPhoto via Getty Images

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金と株が同時に上昇している。これは1970年代初頭に一度だけ見られた現象であり、その時は悪い結末を迎えた。

通常は逆に動く金と株、なぜ同時に上昇しているのか

金と株式市場が同時に脚光を浴びることは通常ない。そうした場合、恐怖と自信という相反するシグナルがぶつかっていることを意味するのかもしれない。あるいは、もっと根本的な変化が進行しているのかもしれない。

金は年初来44%高騰、S&P500も14%上昇し史上最高値を更新

金は今年44%上昇している。S&P500種株価指数は14%上昇した。米国時間9月22日には両者がともに新高値で取引を終えた。2025年に入り、金と株が同じ日に史上最高値を更新したのは6回目となる。2024年には10回あった。しかし、1970年から2023年までの間に起きたのはわずか2回で、いずれも1972年だった。この年は、ニクソン大統領がドルと金の交換を停止し、金が自由に取引されるようになった翌年にあたる。

このパターンは歴史から大きく外れている。そして、それには理由がある。

金は不透明な経済で強みを発揮、株は好況や金融緩和期待で上昇

金は安全資産とみなされ、経済の見通しが不透明な時に最もちからを発揮する。過去半世紀の大部分では、そうした状況はまれだった。モンタナ州ホワイトフィッシュに拠点を置くスタック・フィナンシャル・マネジメントの創業者兼CEOであるジム・スタックは、過去54年間で金が史上最高値をつけたのは4回しかなかったと指摘する。

一方、株は通常、経済状況が良好に見えるときに上昇する(あるいは中央銀行が状況を左右する現代では、状況が悪すぎて投資家が大規模な金融緩和を期待する場合にも上昇する)。現在の状況に対する1つの解釈は、投資家が成長とリスクの双方に備えているということだ。そして、もう1つの説明は、必ずしも前者と切り離せるものではないが、投資家がドルの急落に備えているというものである。

米ドル指数は年初来10%下落、2003年以来の大幅安

主要な取引相手国に対するドルの動きを追う米ドル指数は、今年10%下落している。これは2003年の最悪の数字に続くものであり、当時ドルは15%下落した。ドル安はドル建てで取引される金を支え、また米国株を外国投資家にとって割安にする。

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翻訳=江津拓哉

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