昆虫が石油の代替になるか 「残りかす」のアップサイクルで世界を救う

shutterstock

shutterstock

世界は化石燃料に依存しない代替燃料へと大きく舵を切っているが、完全に石油から脱却するためには、乗り越えなければならない課題がいくつかある。そのひとつが原料だ。植物や動物由来のバイオ燃料は、原料の調達が難しく需要をまかないきれない。そこで注目されているのが昆虫由来のバイオ燃料だ。

昆虫由来油脂からバイオ燃料原料の開発製造を行うスタートアップ、スーパーワームは、全国の事業者や自治体から出される食品などの産業系残渣を使ってバイオ燃料の原料となる虫を飼育する「アップサイクル試験プログラム」を開始した。

食品関連に限らず、日本の産業界からはさまざまな残渣、つまり「カス」が大量に出る。何もかもがバイオ燃料にできるわけではなく、効率やコストの問題もある。それを「脂肪のかたまり」とも言えるスーパーワームというオオツヤケシダマシの幼虫に餌として与え大量に養殖し、効率よくバイオ燃料化するのが同社の技術だ。なんでもよく食べるこの虫に与えれば、思わぬ残渣も効率よく燃料にできるというわけだ。

国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までにバイオ燃料の生産量を現在の2倍以上に増やす必要があると警告している。しかし、そのおもな原料となる廃食用油や動物性脂肪の供給量は25.5メガトンが限界とされ、需要に及ばない。また、トウモロコシなどの農作物を原料にすれば、人間の食料や家畜の飼料との取り合いとなる調達競合が発生する。スーパーワームならその心配もいらず、環境負荷が低く、どこでも比較的簡単に養殖が可能というメリットがある。

スーパーワーム公式ホームページより。
スーパーワーム公式ホームページより。

「アップサイクル試験プログラム」には、国内で大量に持てあまされている残渣を活用し、効率的にバイオ燃料を生産する狙いがある。さまざまな残渣をスーパーワームに与え、成長速度、生存率、脂肪含有量など、資源としての可能性を評価する数多くの試験が実施される予定だ。想定される残渣には、野菜の規格外品、カカオハスク、チョコレート屑、酒粕、魚の骨や内臓など食品系に限らず、木の皮や削りかす、製紙工場のスラッジ、家畜の糞の乾燥ペレット、バイオエタノール発酵後の残渣などなど、ほぼありとあらゆる有機物が含まれる。

これらが代替燃料生産に役立てば夢のような話だ。スーパーワームでは現在、「アップサイクル試験プログラム」に参加したい事業者や自治体を募集している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事