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2025.09.24 13:00

ウォーレン・バフェットが中国EV大手BYD株を完全売却、約17年の投資に終止符

Visual China Group via Getty Images

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ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、中国の電気自動車大手BYDの株式をすべて手放し、2008年以来、同社に数十億ドルの利益をもたらしてきた投資を終えた。

香港と深センに上場するBYD株を保有していたバークシャー・ハサウェイ・エナジーは、2025年3月時点で同社株式の保有額をゼロと記録した。これは5月に米国証券取引委員会(SEC)に提出された書類によるもので、米国時間9月21日にCNBCが最初に報じた。

BYDの広報責任者リ・ユンフェイは中国SNSの微博(ウェイボー)への投稿で、過去17年間にわたるバークシャーの投資と支援に感謝の意を表明した。コメントを求められたBYDの担当者は、ウェイボーへの投稿を参照するよう述べ、追加のコメントはないとした。

市場は長らくバークシャーの撤退を予期していた。同社は2022年8月に初めてBYD株の持ち高を削減し、133万株を1株あたり平均277香港ドルで売却した。しかし、売却を進めるにつれてバークシャーの持ち株は目立たなくなった。香港証券取引所の規則では、保有割合が5%未満に下がると、株主は保有状況を開示する必要がなくなるためである。

バークシャーはBYDへの投資で大きな利益を得た。当時、BYD株は1株あたりおよそ8香港ドルで取引されており、バークシャーは約2億3000万ドル(約340億円)を投じて2億2500万株を取得し、当時の保有割合は10%だった。その後、同社が株式を売却し始めても、BYDは成長を続けた。昨年には、より幅広い製品ラインナップと手頃な価格戦略のおかげで、ついに世界販売でイーロン・マスク率いるテスラを初めて上回った。

現在、BYDの時価総額はアジアの金融ハブである香港市場で1兆香港ドル(約19兆円)超、深センでは約9750億元(約20兆円)となっている。同社の会長兼CEOを務める王伝福(ワン・チュアンフー)は、フォーブスの『Real-Time Billionaires List』によると、純資産244億ドル(約3兆6100億円)で中国第11位の富豪となっている。

しかし、BYDは課題も抱えている。激しい競争と、中国当局が自動車メーカーの価格引き下げ競争を「経済にデフレ圧力を加えている」として快く思っていないことから、2025年の世界販売目標である550万台の達成は難しいと予想されている。ドイツ銀行は9月のリサーチノートで、2025年の世界販売台数を470万台と予測し、これは2024年の427万台から10%の増加にあたるとした。また、モーニングスターのアナリスト、ヴィンセント・サンは2025年の販売台数を480万台と予測している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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