北米

2025.09.24 09:30

米議員の反ワクチン発言は本当か──科学が示す真実

公聴会に現れたランド・ポール上院議員、2025年9月17日(Kevin Dietsch / Getty Images)

公聴会に現れたランド・ポール上院議員、2025年9月17日(Kevin Dietsch / Getty Images)

米国時間9月17日、米上院委員会の公聴会でランド・ポール上院議員は、新型コロナワクチンや小児へのB型肝炎ワクチン接種など、公衆衛生に関するさまざまな問題について米疾病予防管理センター(CDC)の元所長スーザン・モナレズ医師と激しい議論の応酬を繰り広げた。

新型コロナワクチンに関する議論では、ポール議員が「ワクチンを打てば、18歳未満の子どもの入院率は減るのか」と質問。モナレズ医師が「減る可能性がある」と答えると、彼は「減りなどしない」と反論した。

しかし実際には2023年、小児科学専門の医学誌 JAMA Pediatrics (JAMAペディアトリックス)に発表された研究が、ポール議員の主張の誤りを証明している。これは5~11歳までのワクチン接種済み児童約1100万人と未接種児童260万人を対象とした研究17本を検証したもので、コロナワクチンの接種が感染・入院・多臓器系炎症性疾患のリスクを低下させるという結果が出ている。具体的には、ワクチンを接種した子どもは未接種の子どもと比べて、入院率が68%も低かった。

さらにポール議員は、B型肝炎ワクチンについて「母親が陰性の場合、新生児にB型肝炎ワクチンを打つべき科学的根拠はない」と発言し、X(旧Twitter)にも同様の投稿をした。これは米国で通常、新生児に生後24時間以内に接種されるワクチンについての発言だ。

しかし母親がB型肝炎検査で陰性であっても、新生児へのB型肝炎ワクチン接種が推奨されているのには科学的根拠がある。B型肝炎ワクチンは性交、また注射針、カミソリ、歯ブラシなど体液に触れるものの共有によって、本人も気づかぬうちに感染してしまう病気だ。だが子どもの頃にワクチンを接種しておけば、この深刻な病気への感染リスクを減らせる。

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翻訳=猪股るー

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