欧州

2025.09.24 12:30

ロシアは「景気後退の瀬戸際」、経済発展相 25年のGDP成長率予測は1%未満

ロシア北西部サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムに出席した同国のマクシム・レシェトニコフ経済発展相。2025年6月20日撮影(Maksim Konstantinov/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ロシア北西部サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムに出席した同国のマクシム・レシェトニコフ経済発展相。2025年6月20日撮影(Maksim Konstantinov/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は18日、経済の現状について議論する生放送のテレビ番組に出演し、同国が景気後退に向かっているとの外国の報道を否定した。その上で、物価上昇を抑制するために政府が意図的に経済を減速させているのだと説明した。

同大統領は、国内総生産(GDP)成長率が4%超から低下しているとの指摘について「これは低下ではなく、意図的な行動によるものだ」とした上で、「インフレ抑制とマクロ経済の安定維持と引き換えに、成長が鈍化しているのだ」と述べた。

だが、ロシア経済について誰もがそれほど楽観視しているわけではない。6月にロシア北西部サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで、同国のマクシム・レシェトニコフ経済発展相はロシア経済の現状について警告を発した。「数字は(ロシア経済が)減速していることを示している。現在の景況感から判断する限り、(ロシアは)既に景気後退の瀬戸際に立っていると言える」

ロシア中央銀行の統計からも、同国の「GDPが今年に入って縮小している」ことが示された。この統計について、米誌フォーチュンは「プーチン大統領の戦争経済が景気後退に陥った兆候」であると結論付けた。

経済学者やジャーナリスト、各種国際機関もおおむねこれらの意見で一致している。例えば、英コンサルティング企業オックスフォード・エコノミクスで新興市場を担当するタチヤナ・オルロワ主任エコノミストは、米ヤフー・ファイナンスの取材で、ロシアは「景気後退の瀬戸際に立っている」と語った。米政府系「ラジオ自由欧州(RFE)」のマイク・エッケル上級国際特派員も「ロシアの戦争経済は後退に向かっている」とし、同国は「ウクライナでの全面戦争開始以来、初めて深刻な経済減速に直面している」と指摘した。

国際通貨基金(IMF)は、2025年のロシアのGDP成長率はわずか0.9%にとどまると予測。昨年の成長率4.1%と比較すると、今年の予測値は大幅な後退となる。IMFは26年の同国の経済成長率も1%と控えめに見積もっている。世界銀行も25年と26年のロシア経済に関する独自の評価で同様の予測を出している。

これらの評価に基づくと、ロシアはウクライナ侵攻や制裁による経済的影響を認識し始めているようだ。こうした経済不振が続けば、同国は侵攻を継続する方法を変更するかもしれない。

制裁がロシア経済に与える影響

2022年2月にロシアがウクライナへの全面的な軍事侵攻を開始すると、世界数十カ国は国際機関と結束し、ロシアへの制裁を発動した。例えば、米国、カナダ、英国、欧州連合(EU)は、ロシアの政府高官や企業らを対象に制裁を科した。それにより、数百人に上るロシアの新興財閥オリガルヒや政治家、政府高官の資産が凍結されたり差し押さえられたりした。ロシアの大手銀行が国際的な資金決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除され、1000社を超える外資系企業がロシアから撤退した。さらに欧州諸国を中心としたロシア産の石油や天然ガスの輸入国は、同国への依存から脱却すると表明した。

これらの制裁により、ロシアは4500億ドル(約66兆5000億円)以上の収入を失ったと推定されている。制裁によってロシアへの輸出が不可能となった商品やサービスもあり、同国の貿易は縮小した。

こうした制裁にもかかわらず、ロシア経済はこれまで何とか持ちこたえてきた。これは、西側の制裁に協力していない南米やアフリカ、アジアの企業や銀行が制裁の影響を弱めてきたことも一因だ。これらの地域の企業はロシアとの取引を継続しており、同国の経済を支えている。さらに仲介業者として、ロシアへの輸出が禁止されている欧米の商品やサービスを同国へ横流しする企業も出現した。トルコやインドなどはロシア産原油を輸入し続けている。ロシア産原油は第三国で精製され、世界各国に出荷される。こうした取引もロシア経済の繁栄を助けている。

次ページ > 堅調に推移していた戦時経済から一転、ロシアは景気後退へ

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事