昨年、アップルはグーグルの、いまは失敗に終わったFLoC(Federated Learning of Cohorts」(最初のプライバシーサンドボックス構想)を、ヒッチコックの映画『鳥(The Birds)』をもじった動画『Flock』(鳥の群れといった意味)で風刺した。この動画は、他のブラウザがユーザーのスマホを追跡する一方で、Safariはユーザーを守る様子を描いたものだ。
アップルは動画『Flock』でChromeに言及しなかった。必要がなかったからだ。モバイルブラウザ市場の90%はChromeとSafariが握っている。現在のところ、他のブラウザは重要ではないためだ。しかし、今回アップルのウェブサイトではChromeに言及しており、ここには明確な攻撃の意図がある。
Windowsユーザーへのマイクロソフトの警告やiPhoneユーザーへのアップルの警告にもかかわらず、Chromeは勢いづいている。ユーザーに影響は及んでいない。ブラウザ市場がAIによる破壊的変化に備える中で、これはアップルにとって問題だ。だがアップルが着々と賭け金を上げ、警告を強めているものの、今のところ効果は出ていない。
筆者は、アップルの警告についてのコメントをグーグルに求めている。
一方、ChromeにとってiPhoneが重要であることは、文字どおり誰の目にも明らかだ。先に始まったiOS 26の配信に合わせて、9to5Googleは「Google Chrome 141が、iPhoneとiPadでLiquid Glassの適用が行われて公開された」と報じた。これは「Chromeが、グーグルのiPhone向けアプリとして初めてLiquid Glassを採用した」ことを意味するそのためiPhone版のChromeはすでに「Android版とはかなり異なるインターフェースと体験」を備えている。
だが本当に重要なのは、ユーザーの獲得と定着である。アップルの新しいiPhoneのルック&フィールに注目が集まるなか、Chromeも取りこぼしてはいない。グーグルは、iPhoneのトラッキングに関して、最大でさらに3億台のデバイスを射程に収めるという野心を示している。新しいAIブラウザが台頭し、アップルがいずれ自社のAIの混乱を整理するにつれ、これはいっそう重要になるだろう。
しかし、プライバシーの観点では、その差はiPhoneの新しいディスプレイと同じくらい明白だ。ExpressVPNによれば、「SafariはデフォルトでサードパーティCookieをブロックし、ファーストパーティCookieの寿命も制限する。インテリジェントトラッキング防止機能(ITP)も、デバイスに関する情報の共有を減らすことで、サイト間トラッキングとフィンガープリンティングを抑制する。Facebookの『いいね』ボタンのようなソーシャルウィジェットであっても、ユーザーが操作しない限りトラッキングを止める」という。
対照的に、「ChromeはデフォルトでサードパーティCookieやフィンガープリントをブロックしないため、それらの設定を手動で変更する必要がある」という。だが周知のとおり、ほとんどのユーザーはどのブラウザでも、デフォルトのプライバシーやセキュリティ設定を変更しない。


