米国は問題だらけ
米国は今年もまた順位を落とし、36位となった。「紙の上では昨年から1つ下げただけだが、今年のランキング対象国が(2024年の53カ国から)46カ国に減少したことを考慮すると、実際には大幅な後退であり、下位10カ国にかろうじて入らなかっただけにすぎない」とチュドバは手厳しい。
ほぼ全項目で平均評価が低下しているが、チュドバは「足を引っ張っている分野に意外性はない」と指摘する。生活の質の指標における3つのサブカテゴリーで特に評価が低く、これは過去数年続いている傾向だ。
米国が苦戦する3分野には移動・交通が含まれる。チュドバによれば「公共交通機関の料金の高さと利用しにくさ、自転車・歩行者向けのインフラの劣悪さが最大の要因だ」という。医療も外国人居住者にとって重大な問題となっている。「費用が高く、利用しにくく、公平なアクセスもない。品質も基準以下だと認識されている」
治安上の懸念も外国人には最重要課題であり、政治の安定性と個人の自由はここ数年で最低の評価を受けた。「外国人の5人に2人以上(41%)が米国の政治的安定性を否定的に評価し、約5人に1人(19%)が最低評価をつけた。2024年にはそれぞれ28%と9%だった」という。「サブカテゴリーでは『自分や意見を自由に表明できる』という項目の評価が、2024年の67%から25年には58%へと約10ポイント減少した」
米国在住の外国人は、住宅費の高さや社会に溶け込むのが難しい点にも不満を訴えている。地元民の友人を作りやすいと答えたのは一握りにとどまった。「2025年には約5人に1人(19%)が『米国人は一般的に外国人居住者に友好的だ』という項目に不同意を示した」とチュドバは指摘する。
就労の指標においてはまたしても仕事と余暇に関するサブカテゴリーが課題とされた。「米国で働く外国人は労働時間とワークライフバランスに満足したことがなく、状況はさらに悪化しているようだ」
経済面でも問題が指摘されている。「2024年には米国経済を肯定的に評価した回答者は64%だったが、25年には10ポイント近く低下し56%となった」
環境と気候も問題だ。「政府が環境保護政策を支援している」という項目に不同意を示した米国在住の外国人は、2024年には27%だったが、今年は42%に増加した。


