サイエンス

2025.09.25 17:00

220億羽、世界で最も数が多い鳥ニワトリが人類に突きつける難題

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これほどの急増は、比較的最近の出来事だ。世界の食肉消費量は増加の一途をたどっており、特に直近の数十年で顕著だ。この傾向は、とりわけ発展途上国に当てはまる。所得の順調な増加に伴い、食生活に変化が生じている。多くの人々が、鶏肉を主要なタンパク源として選ぶようになったのだ。

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ニワトリは比較的安価で低脂肪であり、その上、成長が速く、大量生産方式に順応性があるため、現代の食肉生産の屋台骨とみなすことができる。

一方、進化の視点からは、ニワトリはひと握りの他種の動物とともに、特別なカテゴリーに位置づけられる。つまり、人間活動の拡大に便乗して進化的成功をなしとげた動物たち(家畜)であり、ほかにはウシやブタなどが含まれる。

人間が行くところには、ほとんど例外なくニワトリもついてきた。彼らは私たちにとって、食料源であり、経済的価値のある商品であり、一部の地域では文化的象徴でもある。

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エコロジカル・フットプリント

養鶏場でのニワトリ(Shutterstock.com)
養鶏場でのニワトリ(Shutterstock.com)

言うまでもなく、膨大な数のニワトリは代償を伴う。集約的家禽生産は、動物福祉、感染症の拡大、世界的な養鶏業の環境面での持続可能性といった、数々の重大な問題に直面している。

大規模養鶏場では、ニワトリは通常、極端に狭いスペースで飼育され、社会的刺激はおろか、運動の機会すらほとんど与えられない。こうした飼育環境は、農業の効率化に貢献する一方で、ニワトリの生活の質や福祉に関して、明らかに倫理的懸念を生むものだ。

生物学研究から、ニワトリが独自の複雑な認知能力をもち、かつて考えられていたよりもはるかに知的な生物であることが、ますます明らかになってきている。ニワトリは、仲間の顔を覚えて個体識別し、群れのヒエラルキーを形成し、種に固有のさまざまな感情さえも経験する。

養鶏業の環境負荷もまた、重大な倫理的懸念を招く要素だ。ウシやヒツジの畜産業と比べれば軽微とはいえ、養鶏業に由来する温室効果ガス排出はけっして少なくない。

養鶏はまた、莫大な量の廃棄物を生み出す産業でもある。管理が不適切な場合には(多くの地域で現状はそうなっている)、深刻な水質汚染を引き起こし、土壌流出を助長する。

ニワトリには飼料も必要だ。数十億、数百億羽のニワトリを養うための大豆やトウモロコシの生産には、途方もない広さの土地と、大量の水や化石燃料が必要になる。こうした資源は本来、養鶏よりもずっと持続可能な農業慣行に利用できるはずのものだ。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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