文書で記録を残す
証拠を保全しておくことは、胸のすくような作戦ではないかもしれないが、最も効果的な防御策の一つだ。仕事の期限や成果物、会話の詳細な記録を残すようにしよう。合意内容を確認するメールを保存し、指示が突然変更された記録をつけておこう。会議の後には短い要約メールを送信し、決定事項と責任範囲を確認しよう。目的は、誤解を防ぐことだけではない。結局のところこれらは、後から否定できない文書記録となる。
非公式な会話については、日付、時刻、内容を個人的にメモしておこう。数週間から数カ月経つと、その場では気づかなかったパターンが、これらのメモから浮かび上がるかもしれない。
こうした文書記録があると、勤務評価を受ける時に自身の仕事ぶりを擁護したり、あるいは、問題があることを上層部に報告したりする必要が生じた場合、記憶だけでなく証拠を提示することができる。たとえ実際に使用しなくても、こうした準備は心の平安につながる。
協力者を確保する
自分一人で問題に対処する必要はない。信頼できる同僚やメンターは、客観的な意見と支援を提供してくれる。時には、自分の経験していることを誰かに話すだけで、状況をより明確に把握できる場合もある。もちろん、うわさ話で盛り上がるタイプの人ではなく、口が堅くプロフェッショナルな人を選ぼう。
妨害行為が仕事に支障をきたし始めたら、人事部に相談することを検討しよう。社外では、仕事関連の人脈を頼りにするといい。同じ業界の仲間や昔の上司、メンターは、あなたの価値が一つの職場に留まるものではないことを思い出させてくれる。場合によっては、新たな機会さえ提示してくれるかもしれない。
結局のところ、1人の上司にどう扱われようと、それがあなたのキャリアを最終的に決定づけるわけではないのだ。
次の行動を計画する
密かな妨害行為には、一時的には耐えられるかもしれないが、長期的な進路にまでその影響を及ぼさせてはならない。この経験を成長のきっかけにしよう。
研修を受け、資格を取得し、専門性を広げるプロジェクトに志願しよう。新たなスキルは、自分のポートフォリオを充実させるだけでない。何かを達成するたびに、自分は障害に負けずに成長を加速させている、という自覚が持てる。
同時に、転職の可能性にも備えよう。履歴書とLinkedIn(リンクトイン)プロフィールは、常に最新の状態に保とう。透明性と協働の文化を確立している新しい職場を、黙って探そう。状況が耐え難くなった場合に備えて、外部の人脈を築いて選択肢を確保しておこう。
結局のところ、去ることは負けではない。自分の才能を、それを認めてくれる場所とマッチングさせるための選択なのだ。
逆境を力に変える
密かな妨害行為に遭うことは、不健全な環境を生き延びる以上の意味を持つ。それは学びの機会にもなるのだ。問題のパターンを見極め、冷静さを保ち、成果を記録し、頼れる味方をつくり、変化に備えることで、「逆境から立ち直る力」に変容させよう。
どんな試練であっても、あなたが明晰さと自信をもって前へ進む能力を磨く機会になり得る。足を引っ張ってくる上司が、あなたの価値を決めるわけではない。あなたの価値を決めるのは、あなたのスキル、人脈、そして成果だ。
あなたを傷つけようとする試みがあったとしても、一貫して発揮されるプロフェッショナリズムこそが、それに打ち勝つ現実の力になるのだ。


