ジャカルタのISAアートギャラリーとアーティストのシンタ・タントラや、ベトナムのギャラリーCUCとチューリップ・ドゥオン、ジョグジャカルタにあるガジャ・ギャラリーとインドネシア人アーティストのユニザール、そして彼の彫刻、そのほかエイムズ・ヤヴーズとピナリー・サンピタクなど、域内で広く知られているアーティストとギャラリーを再発見する機会にもなっているこのフェアは、私にとっては目新しい各国のギャラリーも、紹介しています。
取引されるアート作品に消費税(GST)がかかることなど、実質的な問題が障害になってはいますが、戦略的に重要な位置にあることや、サービス・インフラが確立していることは、シンガポールを前途有望なアートハブにしています。
──東南アジアの現代アートの発展の可能性について、教えてください。
東南アジアのアーティスたちには、より発展したアートの世界における露出の機会が十分に与えられていません。ですから、域内の現代アートの今後の発展の可能性は、非常に大きいといえます。
──東南アジアのアートに必要な支援については、どうお考えですか?
支援が必要な理由は、数多くあります。多様な文化、宗教、歴史、そして経験が混在していることは、域外の人々にとっても興味深いものです。例えば、現代アーティストたちはこの地域の広大な熱帯雨林、海岸線、海洋境界、植民地化以前の歴史、多様な宗教といったさまざまなものの豊かさから、インスピレーションと影響を受けています。
この地域のアートを巡る環境には、政府による一貫した支援が不足していることが招く認知度やインフラの問題があります。この分野は見過ごされ、資金が不足することも多いのです。
東南アジアのアートを支援することは、グローバルな対話をより豊かなものにするだけでなく、地元の豊かな才能を育てることや、彼らへの関心を高めることを通じた地域の文化インフラの強化にもつながります。
──どのようなきっかけで、主にシンガポールや東南アジアのアート作品をコレクションするようになったのですか?
私は人生の半分を東南アジアで過ごしてきました。マニラで育ち、過去22年間はシンガポールに住んでいます。つまり、この地域とは深いつながりを感じています。修士課程で東南アジア美術史を学んだことで、この地域で探求されるアートと、それらのテーマに対する理解がさらに深まり、さらに情熱を持つようになりました。
コレクターたちは、この地域のアーティストの作品が入手しやすいことや、価格が手ごろであることに気づき始めています。いま域内のアーティストたちの作品を収集することは、とても刺激的なことです。


