新型の高級EV「ES90」でアルミ29%・鋼18%、リサイクル素材比率引き上げに挑む
その中でも最も野心的なのがリサイクル目標だ。ボルボはスウェーデンの鉄鋼大手SSABと組み、リサイクル鋼の利用を進めているが、自動車のリサイクル素材比率を高めることは、かつてのように主な素材が鉄やアルミ、ガラス、ゴムだった時代に比べてはるかに難しい。現代の自動車には、大量のプラスチックや複雑な電子部品、リチウムイオン電池が組み込まれているからだ。
同社は着実に前進している。しかし新型の高級EV「ES90」で35%のリサイクル目標を達成するには、まだ課題が多いとブターニは語る。「ES90ではリサイクルアルミの比率が29%、リサイクル鋼が18%、リサイクル高分子やバイオ由来素材が16%に達している。前進はしているが容易ではない。特にバッテリーを組み込むと難易度が一層高まると気づいた」と彼女は説明した。
その背景には、リサイクルされたバッテリー素材、とりわけリチウムの供給量が徐々に増えてはいるものの、依然として限られていることが挙げられる。このためリチウムイオン電池セルは、依然として原材料を世界的な供給網に大きく依存している。その原材料の多くは中国で加工・精製されており、このことがEV生産に伴うCO2排出を増やす一因となっている。
それでもボルボは前進を見せている。同社は電動モデルに「バッテリーパスポート」と呼ばれる仕組みを導入した。これは、使用されたバッテリー素材やその産地、製造方法を明示するものである。この取り組みは、同様の情報開示を義務づけるEUの新法に2年先駆けて実現した。
「私たちは可能な限り透明性を高めようとしている」とブターニは語った。
中国ではEV新車販売は56%を占めるも、米国では販売難航でプラグインハイブリッドに軸足
中国では先月、EVとプラグインハイブリッドが新車販売の56%を占めた。これとは対照的に、米国では政策変更によってボルボのEVモデル販売が抑制される可能性が高い。たとえ同社の野心が揺らがなくても、だ。そのためボルボは当面の間、「完全なEVよりもプラグインハイブリッドに注力することになる」とブターニは語る。
「私たちは米国で引き続き投資とイノベーションを進め、電動化テクノロジーを提供していくが、同時にプラグインという橋渡しになる技術にも取り組んでいる」とブターニは話す。「EVのほうが優れた製品であることは間違いない。普及には時間がかかるかもしれないが、その価値を消費者に示すことに私たちは引き続きコミットしている。一度その良さを理解してもらえれば、必ず気に入ってもらえるはずだ。ただし、プラグインハイブリッドは優れた移行手段でもある」と彼女は語った。


