米国はEVシフト後退・規制緩和、欧州と中国は脱炭素を加速
一方、米国の自動車業界は混乱のさなかにある。トランプ政権は電気自動車(EV)への移行を大幅に減速させ、排ガス規制や環境規制を緩和し、「気候変動の脅威は米国人が信じ込まされているほど深刻ではない」と主張している。しかしその姿勢は、アジアや欧州を中心に温室効果ガス削減や電動化を競う熾烈な動きを軽視している。そんな中、ライバルと比べれば小規模なメーカーのボルボは、事業改革のスピードを加速させている。
中国市場が第2の柱、関連会社ポールスターの高性能EV生産も担うボルボの戦略
創業から約1世紀を迎えるボルボ・カーズは、かつての親会社でトラックメーカーのABボルボとは別の企業である。同社は2010年に米フォードから中国の吉利控股集団(ジーリーホールディングス)に買収され、その主要な欧州ブランドとなっている。また同社は、同じく吉利を親会社に持つ関連会社のポールスター向けに高性能EVを生産している。両ブランドは今月、EUに対して2035年のゼロエミッション目標を堅持するよう求める書簡に署名した。
ボルボ・カーズにとって、1位の市場は欧州である。2位は中国、3位は米国だ。こうした背景もあり、世界最大のEV市場である中国とのつながりは、同社にとって大きな強みとなる。
スウェーデンと中国工場をCO2ゼロ化、スロバキア新工場も非排出エネルギーへ
ボルボは2021年以降、スウェーデンと中国の組立工場をカーボンニュートラル化し、主力の電源としてバイオガスを活用している。さらに2022年には、来年開設予定のスロバキア新工場を、CO2を排出しないエネルギーで稼働させる計画を発表した。同社はまた、製造過程での排出削減に向けて、100個の小さな部品を1つの大型アルミ部品に置き換える「メガキャスティング」と呼ばれる製造プロセスも導入している。


