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2025.09.23 08:00

次の債務危機はいつどう起こる? 留意すべき動向と憂慮される米国のリーダーシップ欠如

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オーソドックスな観点に立ったより一般的な要因は、持続可能性が失われることだ。経済学者のジョン・メイナード・ケインズはそれを「債券保有者の要求が納税者の負担能力を超えていることが明らかになったとき」と簡潔に定義している。国際通貨基金(IMF)や世界銀行などはもっと細かい定義を示していて、こうした機関による標準的な分析では次の点を評価することを目的にしている。

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「一般的に言えば、公的債務が持続可能と見なせるのは、ベースラインシナリオと現実的なショックシナリオの両方で債務を少なくとも安定化させるために必要なプライマリーバランス(基礎的財政収支)が、経済的・政治的に実現可能であり、その債務水準が、借り換えリスクが許容できる程度の低さに抑えられ、かつ潜在成長率が満足のいく水準に維持されることと整合的な場合である」(IMFの文書より)

これを踏まえると、債務危機を生む状況はリセッション(景気後退)から始まるのかもしれない。その際に起こり得る問題は2つある。ひとつは、リセッションを和らげるための財政余地の欠如とそれに伴う政治的副作用(暴動から政権の分裂、「ねじれ議会」まで)。もうひとつは、どの国債市場が引き続き安全で、どの国債市場が高い信用リスクを抱えているのか(後者はたとえばフランス)を市場が即座に見抜いてしまうことだ。

とりわけ、国債を増発しなければ景気刺激策を講じられないような国は、リセッションが深刻化するおそれがあり、これはさらに資産価格の大幅な下落(不動産ローンや民間の貸し付けにも悪影響が出る)も招きかねない。他方、国債市場の新たな「安全な避難先」(ノルウェー、アイルランド、オランダ、ドイツなど)が浮上したり、以前は安定していた市場(たとえばベルギー)に売りが浴びせられたりもするかもしれない。

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こうした初期段階に大きな関心が向けられるのは、やはり中央銀行だろう。市場のストレスを吸収する能力と信頼性を備えた中銀の通貨は買われやすそうだ(ここではユーロが意外な強さを見せる可能性がある)。筆者の直観では、ドナルド・トランプ米政権下で財務省の一部のような存在になるかもしれない連邦準備制度理事会(FRB)の場合、尋常ではない政策への恐怖からドルは下落すると思われる。通常、危機の際にはドルは買われて上昇するものだが、次の危機では反対の動きが想定されるということだ。

さらに懸念されるのは、過去70年ほどの政策運営の伝統から断絶して、米国がもはや危機救済計画で調整役を担わなくなることだ。実際、国際経済は以前よりも競争的でゲーム理論的な性格を強めており、債務危機の救済計画は新型コロナ危機の場合と似たようなものになるだろう。つまり、経済大国間の協調が著しく欠如し、各国がそれぞれローカルな救済策を優先することが予想される。そのため為替市場も非常に不安定になるだろうし、そしてそれはほんの始まりにすぎない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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