米Databricks(データブリックス)は、評価額1000億ドル(約14.7兆円。1ドル=147円換算)を誇る、人工知能(AI)を利用したデータ解析プラットフォーム企業だ。直近で10億ドル(約1470億円)の資金調達を実施した同社は、シードやプレシード段階のAIスタートアップを対象とするアクセラレーター・プログラムを始動させた。経営陣による指導や顧客基盤を活用した支援も提供し、将来のIPOを見据えつつ、次世代AI企業の育成に乗り出している。
評価額14.7兆円のデータブリックス、次世代AI企業を育てるアクセラレーター始動
データブリックスは9月18日、同社のツールやプラットフォームを活用するシードおよびプレシード段階のAIスタートアップを対象にしたアクセラレーター・プログラムの立ち上げを発表した。
最大3700万円を投資、経営陣の指導と顧客基盤で支援強化
同社は最大25万ドル(約3700万円)をポートフォリオ企業に投資する計画だ。支援は現金のほか、同社プラットフォームの利用クレジットや、ウェブデザインなど精査済み外部ベンダーのサービス利用クレジットなど複数の形態で行われる。このプログラムは、2021年に設立され、これまでAI検索エンジンのPerplexity(パープレキシティ)や企業向けAIアシスタントのGlean(グリーン)などのスタートアップに投資してきた同社のベンチャーキャピタル(VC)部門「データブリックス・ベンチャーズ」の一環だ。
データブリックスは今回のアクセラレーターで、単なるVC投資を超える支援を目指しており、経営陣によるメンタリングを提供し、場合によってはスタートアップがまだ製品を世に出す前から成長を後押しする。
「我々は伝統的なVCよりもはるかにうまくやれる」とゴドシはフォーブスに語った。「VCには2万社の顧客はいない」と語る彼によると、同社は自社の顧客基盤や運営ノウハウを活用することで、若い企業の市場への進出を支援していくという。
著名VCとのネットワークを提供、シリーズA以降の調達を後押し
また、ポートフォリオ企業はデータブリックスの持つ幅広いVCネットワークにもアクセス可能だ。同社が持つネットワークにはアンドリーセン・ホロウィッツ、バッテリー・ベンチャーズ、ゼネラル・カタリスト、ニュー・エンタープライズ・アソシエイツ(NEA)、メンロ・ベンチャーズなど著名VCが含まれる。「このネットワークは、シリーズA以降の資金調達を目指す際に役立つはずだ」とゴドシは語った。
初回参加は5社、セキュリティやデータ分析分野で存在感
初回のアクセラレーターには5社が参加している。セキュリティチームのデータ管理を支援するZiggiz(ジギズ)や、顧客データを分析可能な形に加工するDatalinx(データリンクス)、セキュリティアラートを仕分けし、最も緊急性の高い脅威に集中できるようにするAlpha Level(アルファ・レベル)などだ。
「データブリックスとつながりを持つことは、特に新規顧客の獲得を狙う際に、非常に大きな後ろ盾になる」と、Alpha Levelのマイク・ポズマンティアCEOは語った。



