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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

写真はフランス、パリにあるルーヴル美術館。(TTstudio / Bigstock)

最近、ヨーロッパで、日本が世界の文化に果たしている重要な役割について考える良い機会があった。

「サンフランシスコ近代美術館館長の会」の一員として、8日間の日程で、アントワープとゲント(ベルギー)、アムステルダム(オランダ)の美術館やデザイン工房、個人の美術愛好家によるアート・コレクションを訪れた。
 
私たちが行ったすべての場所で、美術やファッション、美学において、日本による「ジャポニズム」の影響を大事にしているかが分かり、印象深かった。

最も顕著に影響が見られたのは、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの作品であり、日本美術、特に「浮世絵」版画の影響を強く受けていた。

これらの版画のみならず、扇子や陶器、屏風、その他の美術品が、日本が西洋と貿易を再開した1850年代に、日本から、フランスやオランダをはじめとするヨーロッパに大量に紹介され、その後何十年かにわたり、特に「浮世絵」が人気を得て、モネ、ドガ、ゴーギャン、ヴァン・ゴッホなどの西洋の印象派やポスト印象派の画家に多くのインスピレーションを与えた様子が見てとれた。
 
さらに17世紀まで遡さかのぼれば、オランダが1641~1853年に出島を日本における西洋との唯一の交易所として使用したことから、日本とオランダは親密な関係にあり、この期間に出島に来た660隻のオランダ船によって、当時の日本と西洋間の最大規模の貿易と交流が行われ、出島は、医学、兵学、天文学をはじめとする「蘭学」の中心地であったことがよく分かる。

そして、こうした展示すべてが、アムステルダムにある有名なアムステルダム国立美術館の目立つ所に展示されている。

ヨーロッパの文化や歴史に日本の影響が見られることに加えて、現在の世界のデザインやファッション、建築、食べ物、飲み物などにも、日本が文化的影響を与えていることはよく知られている。

私たちが訪れた都市には、相当な数の日本食レストランがあり、訪問したいくつかのベルギーやオランダのデザイン工房では、シンプルさ、はっきりした線、自然との調和とその尊重などの日本的感覚が見てとれた。アムステルダムのヴァン・ゴッホ美術館新館の設計をしたのは黒川紀章であり、ヨーロッパの多くの著名な建物が日本人建築家によって設計されている。
 
世界の文化的豊かさに日本は大きく貢献しているが、それが日本国内では十分に理解されていないように感じる。

例えば、学校のカリキュラムで、伝統的な日本の芸術や文化を充分に教えているのだろうか。また、日本の伝統文化を維持しようとしている職人や組織を支援するための予算増額も必要であろう。
 
日本にとって、2020年に開催される東京オリンピックは、日本の伝統文化の保存、維持、再活性化を図るとともに、その魅力を海外からの訪問者数増加の呼び水として活用する好機である。

歴史的に見ると、17世紀と18世紀においては、日本の鎖国政策によって、出島のオランダ人でさえ、例外的な場合を除いて、日本の他の地域を訪れることは禁止されていたが、19世紀と20世紀には、主に日本の美術品の輸出によって、日本の影響は海外に広がった。

21世紀の今、日本の芸術的・文化的遺産は、多数の外国人が日本を訪れることで、理解され再評価されるようになりつつある。
 
したがって、日本への観光客誘致への取り組みは、日本の持つユニークな芸術的・文化的遺産を強調することで、さらに効果があがるのではないだろうか。

とはいえ、これらの遺産の多くは、遠隔地にあるか、日本語表記のみで日本人向けにつくられており、外国人が楽しむのには、改善が必要だろう。
 
最近、イギリスのあるPR会社の調査によると、日本はソフトパワーのランキングで30カ国中8位に入っている。日本のソフトパワーのランキングは、芸術面や文化面の資産にさらに投資することでいままで以上に高まるのはまちがいない。
 
外国人が日本の芸術や文化に触れ、それに感動することによって、日本は、より多くの友人を得るとともに、想像以上に日本の安全保障が強化されることになるはずだ。

グレン・S・フクシマ

 

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