退職後はドルの価値がより高くなる外国で生活したいと夢見ている米国人は多い。人生の新たな章を始めるために海外へ移住したい、国内より生活費がずっと安い場所で暮らしたい、もうひとつの国籍を取得しやすい国を見つけたいなど、具体的な理由は何であれ──。
だが、金融関連の情報を提供する米国のGOBankingRatesのレポートによると、米国内にも年金生活者に最適な場所は、いくつもある。たとえ年金に頼らざるを得ない老後になるとしても、国外へ移住する必要はないという。
数百万人にのぼる退職者たちにとって、主な収入源である年金の平均受給額は、月当たり2000ドル(約29万6000円)程度。多くの都市では、家賃と食費、医療費がかろうじて賄える程度の金額だ。いっぽう、セントルイス連邦準備銀行が米労働統計局(BLS)のデータを基に2024年9月に発表したところによると、65歳以上の世帯の毎月の支出額は、2022年には約4345ドル(約64万4000円)だった。
そこで、GoBankingRatesは、年金生活者が毎月2000ドル以下で快適に生活でき、温暖な気候と健康的な暮らしを享受することができる国内の25都市を特定。人口規模や65歳以上の住民の割合、生活費、気候、暮らしやすさに基づくランキングを作成した(暮らしやすさに関しては、カナダの不動産情報サービス、AreaVibesが公表したスコアを採用)。
そのほかGoBankingRatesは、2025年7月14日の時点で入手可能だった米国国勢調査(全米地域調査)、Sperling’s BestPlaces、労働統計局(消費者支出調査)、不動産情報サイトZillow、連邦準備制度(FRED)、米社会保障局(SSA)のデータも参照した。
ランキング1位の都市は?
トップにつけたのは、経済的な面とレクリエーションの面、双方で高評価となったフロリダ州の州都タラハシーだった。住宅所有者の生活費は月額平均およそ1248ドル(約18万5000円)で、全米の平均を大幅に下回っている。また、賃貸物件で暮らす年金生活者の月あたりの生活費は、およそ995ドル(約14万7000円)だ。
また、住宅費は米労働省労働統計局(BLS)のデータによると、世帯主が65歳以上の世帯の場合、毎月平均1787ドル(約26万5000円)。タラハシーはこの費用でも、全米平均を下回っている。生活費は全米平均より約10%安い。
AreaVibesの100点満点の「暮らしやすさ」評価で85点を獲得したタラハシーは、68歳以上の住民の割合が人口の約11%。公園やハイキングコース、文化施設、活気あるナイトライフなど、すばらしい生活環境を提供する。気候も快適で、夏は高温多湿になることもある一方、冬の寒さは穏やかで、最高気温は華氏60度台半ば(摂氏18度前後)となっている。



