暗い雲は欧州だけに垂れ込めているわけではない。米国家観光局(NTTO)によると、7月に米国を訪れた外国人の数は前年同月比4.9%減少した。年間で最も渡航者が増える時期の1つであるにもかかわらず、新型コロナウイルス流行前の水準の約86.6%にとどまったことが明らかになった。この状況は数カ月間続いており、6月には米国への外国人入国者数が前年同月比6.6%減少した。
米国では、各国の大使から一般旅行者に至るまで、あらゆる立場の外国人のビザ申請が却下される事例が相次いでいる。あるインド人男性は4月、米投稿サイト「レディット」に、米国のディズニー・ワールドを訪れるために2週間の観光ビザを申請したところ、わずか40秒の面接で拒否されたと投稿し、物議を醸した。
ドバイで発行されている英字紙ガルフニュースは、インドは米国ビザの拒否率が最も高いアジア諸国10カ国のうちの1つだと報道。10カ国に入るその他の国には、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、フィリピン、中国が含まれており、UAEに居住するこれらの国々の出身者を合計すると、同国の人口の74.3%という大きな割合を占めていることが判明した。
例えば、米当局はバングラデシュ国籍者からのビザ申請の半数近くを却下しており、バングラデシュ国民が米国のディズニー関連のテーマパークを訪れることは容易でないことが分かる。バングラデシュ人はUAE人口の7.38%を占めており、この数字からもアブダビ・ディズニーランド建設計画の潜在力が明確に示されている。
アブダビのテーマパーク運営会社ミラルのムハンマド・ザアビ最高経営責任者(CEO)が2023年に筆者に語ったように、ディズニーランドの建設は同市の経済の多様化を図るものだ。ミラルは、地元住民が訪れたいと思うような他のテーマパークが米国にあることを認識しており、ディズニーランドの誘致だけにとどまろうとはしていない。米人気テーマパーク、シーワールドはその1つであり、ミラルは2023年に先進的な海洋生物公園を開設し、その目的を達成した。
また、映画『ハリー・ポッター』も中東で人気を集めている。ユニバーサル・スタジオにはハリー・ポッターをテーマにしたアトラクションがあるが、ミラルは間もなくアブダビに同テーマパークを開設する。アブダビでは最近、英ロンドンで人気の舞台裏ツアーを縮小版で再現したような、ハリー・ポッターで使われた小道具の展示会が開催された。ツアーのような壮大な規模ではないが、ハリー・ポッターのテーマパークアトラクションの完成を待つ間、地元の人々を満足させるには十分だった。
アブダビで計画されているディズニーランドは、ディズニー最大のテーマパークとなるかもしれない。同市には、米カリフォルニア州のディズニーランドにあるスター・ウォーズ・ギャラクシーズ・エッジが建設されることが予想されている。開園はまだ数年先になるかもしれないが、アブダビでは既に大きな期待が高まっている。


