UAEを含む中東地域は、世界で最も熱心なディズニーファンが数多く存在する場所でもある。新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっていた頃、米ディズニーはオンライン販売に注力するため、ほぼすべての店舗を閉鎖すると発表した。その一方で、同社がクウェートに新店舗を開店させたことからも、中東でのディズニーの人気ぶりがうかがえるだろう。
だが、熱心なディズニーファンであるにもかかわらず、UAEを含む中東諸国の多くの住民は欧米にあるテーマパークを簡単に訪れることができない。ディズニーは世界中に6つのリゾートを擁しているが、中東・北アフリカ地域向けのインスタグラム・アカウントは、その中でも特に中東からの来場者が多い2つのリゾート、フランスのディズニーランド・パリと米フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドに焦点を当てている。しかし近年、これらのリゾートを訪れるのは決して容易なことではなくなってきている。
アブダビにディズニーランドが建設されることが5月に発表された際、ドバイに拠点を置く旅行代理店ワイズフォックス・ツーリズムのスベール・テケプラトバラッピルは、地元英字紙ハリージタイムズの取材で、現時点で地理的に最も近いディズニーランドのあるフランスの観光ビザ取得が、UAE住民の多くにとって困難だと語った。同紙は、UAE居住者が昨年申請した欧州シェンゲン圏の観光ビザのうち、23.7%が却下されたと報じた。それはUAEに起因するものではなく、ビザ申請が国籍に基づいて行われるため、居住者の出身国の多様性によるものだ。
一方、UAEは簡素な手続きで外国人に観光ビザを発給していることに加え、同国を含む6カ国が加盟する湾岸協力会議(GCC)統一ビザの導入を予定している。これが実現すれば、旅行者は追加書類なしでUAEのほか、サウジアラビア、オマーン、カタール、クウェート、バーレーンと行き来できるようになる。テケプラトバラッピルは次のように説明した。「旅行業界では既にアブダビのディズニーランドについて多くの話題が飛び交っている。特にGCCの統一観光ビザが発効すれば、大きな成功が見込まれる。この地域を訪れる人にとって(アブダビのディズニーランドは)必ず訪れるべき場所になるだろう。UAEの家族がディズニーの魔法を夢見るのに、パスポート(旅券)はもはや必要ない」


