宇宙

2025.09.20 17:30

「衝」の土星と「秋の大四辺形」の共演を見よう

カナダ・アルバータ州の恐竜州立公園(ダイナソール州立公園)から見上げた「ペガススの大四辺形」(写真右側)とアンドロメダ銀河(M31)の眺め(Alan Dyer/VW Pics/Universal Images Group via Getty Images)

カナダ・アルバータ州の恐竜州立公園(ダイナソール州立公園)から見上げた「ペガススの大四辺形」(写真右側)とアンドロメダ銀河(M31)の眺め(Alan Dyer/VW Pics/Universal Images Group via Getty Images)

9月23日は秋分の日。昼と夜の長さが等しくなる日であり、天文学上の秋の始まりを告げる日だ。だが、頭上を見上げれば夜空にはすでに秋が訪れている。

今こそ北半球の夜空で屈指の見つけやすい星の並びである「ペガススの大四辺形」を探そう。「秋の四辺形」とも呼ばれる4つの星がつくるアステリズム(星群)はこの時期、日が暮れると東の地平線から昇ってきて、季節の移り変わりを知らせてくれる。

ペガスス座の3つの星とアンドロメダ座の1つの星がつくる「ペガススの大四辺形」(E. Slawik/NOIRLab/NSF/AURA/M. Zamani)
ペガスス座の3つの星とアンドロメダ座の1つの星がつくる「ペガススの大四辺形」(E. Slawik/NOIRLab/NSF/AURA/M. Zamani)

いつ、どこに見える?

空が暗くなったら東の方角を見てほしい。ほぼ同じ明るさの星が4つ、ひし形に並んでいるのが見つかるはずだ。一番上に光っているのがペガスス座の「シェアト」で、右下が「マルカブ」、一番下の地平線に近いところにあるのが「アルゲニブ」、そして左側の星はアンドロメダ座の「アルフェラッツ」である。

都会の空でも、他に明るい星がないことと特徴的な形のおかげで比較的見つけやすい。

街明かりのない暗い空でなら、ひし形の中に淡く光る星がいくつか見えるだろう。よく晴れて澄んだ夜空なら、4~5個以上見つけられるかもしれない。「秋の四辺形」とその周辺にどんな天体が見えるかは、光害の影響の度合いを測る良い指標となる。

観望のコツ

「秋の四辺形」は見つけやすいアステリズムだ。空高く昇り、四隅の星は明るい。しかも、今は近くに目印となる「ひとつ星」が輝いているので確認にとても便利だ。

やや金色に輝いているこの星は土星で、9月21日に今年最も大きく明るく輝く「衝(しょう)」を迎える。衝とは、惑星が地球から見て太陽と正反対の位置関係にくる瞬間のことで、その惑星を観望する好機だ。

2025年9月20日(東京:午後8時30分ごろ)の東の空(Stellarium)
2025年9月20日(東京:午後8時30分ごろ)の東の空(Stellarium)

衝の時期の土星は日没の頃に東から昇って0.6等級の輝きを放ち、日の出の頃に西に沈む。環は傾きが小さくほぼ真横を向いているため細く見づらいが、小型望遠鏡を使えば観察できるだろう。土星のすぐ左側には海王星があり、2日後の23日に衝となるため、合わせて望遠鏡で観察してみてほしい。

夜空の次の見どころ

「ペガススの大四辺形」は秋の星空の代名詞だが、9月の夜空には他にも見どころがいっぱいだ。日の出の1時間前には、5つの惑星がひそかに夜空に列を成している。東の低空で「明けの明星」の金星が輝き、その上空で木星が、ぐるりと天を回って西の低空では土星が光る。木星と土星の間には、双眼鏡や望遠鏡を使わないと見えないが、天王星と海王星がひっそりと存在する。

9月23日の秋分の日は、オーロラの季節到来を告げるものでもある。地球の磁場と太陽風の磁場の向きが最も効率的にかみ合うため地磁気活動が活発化する「ラッセル・マクフェロン効果」により、強力なオーロラが出現しやすくなるのだ。

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9月21~22日には南半球で部分日食が起こる。観測可能な地域はニュージーランド、南極、南太平洋西部のみだが、日付変更線をまたぐこの日食では太陽の最大86%が月に隠れ、印象的な三日月形の日の出が見られる。

10月に入ると、緑色に輝く「レモン彗星(C/2025 A6)」が見えるようになるかもしれない。今年1月に発見されたこの彗星は、10月20~21日に地球に最接近する。ちょうど新月を迎える中でオリオン座流星群が極大となるタイミングだ。彗星の明るさを予測するのは難しいが、現時点での予測が当たれば肉眼で見えるようになるかもしれない。

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forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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