製油所に対する攻撃は、クレムリンの軍資金の流入元を締め上げるとともに、ロシアのすでに逼迫している経済にさらに圧力を加えることを目的としている。「ロシア国内の燃料価格はおよそ25%上がっていて、燃料不足はとくに遠隔の地域や(占領下のウクライナ南部)クリミアで深刻です」とクザンは説明する。「ウクライナによる攻撃はロシアの経済と軍の脆弱さを浮き彫りにし、『成功』を主張するプロパガンダを掘り崩し、国民の不満を高めています」。ドローン攻撃による経済的締め付けは、すでに西側の制裁によって生じていた圧力を増すものであり、この点はイェウヘン・イストレビンらウクライナのほかのアナリストたちもX(旧ツイッター)などで指摘している。
In Russia, independent oil depots have run out of gasoline!
— Evgen Istrebin 🇺🇦 (@evgen1232007) September 15, 2025
Independent participants in the oil products market (traders, oil depots) have significantly reduced the volumes of fuel planned for sale on the exchange on September 15-19.
1/ pic.twitter.com/3MsKQ2up4H
こうした混乱は、ロシアにとって最も重要な歳入源である石油・天然ガス収入を脅かし、クレムリンの戦費の中心に打撃を与えている。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は14日、ロシアの石油施設に対する攻撃は「最も効果的な制裁」だと述べた。
ロイター通信によると、ロシアで採掘された石油の8割超を取り扱う国営パイプライン企業トランスネフチはすでに、生産業者によるパイプラインへの原油貯蔵能力を制限し始めている。ドローン攻撃でさらに被害を受けた場合、原油の受け入れ量自体を減らす可能性も警告している。
同時に、ロシアは西側の制裁でも圧迫されており、中国製の自動車や建材の代金を小麦や亜麻で払うなど、1990年代のような物々交換を余儀なくされる企業も出ている。プーチンは15日、経済当局者らとの会合で経済の現状にいらだちをあらわにした。ロシア経済は成長がほぼ止まっており、予算の赤字幅は8月末時点で4兆2000億ルーブル(約7兆4000億円)と1年前の150倍超に膨らんでいる。国内各地での燃料不足は、ここへきて首都モスクワ方面にも広がってきている。
頻繁なネット遮断で国民生活と経済に混乱
ウクライナの長距離ドローンは航法(ナビゲーション)や映像データなどの送信でロシア国内のLTEネットワークを利用している。ロシア政府がこれまで、多くの地域でモバイルデータ通信の遮断に踏み切っているのはそのためだ。ロシアの通信監督当局のロスコムナゾールは5月9日、国内のおよそ6割にあたる40の地域でインターネット接続を遮断し、経済に大きな混乱を招いた。もっとも、ウクライナ側も同様の問題に直面している。ロシアのドローンの残骸からウクライナのSIMカードが見つかった事例は何百件とあり、ロシア側もドローンの誘導にウクライナの通信ネットワークを利用していることがわかっている。


