人生のある時期、岐路に立っている自分に気づくかもしれない。「論理的に思えること」と、「自分の直感が正しいと主張すること」の間で引き裂かれそうになるというジレンマにほとんどの人が直面したことがあるだろう。それはキャリアアップだったり恋人の選択だったり、あるいは深夜にメッセージを送るかどうかという些細なことだったりする。このような重要な決断をするとき、理性を信じるべきか、単に「きっとこう」という感覚を信じるべきか迷うかもしれない。
直感や、私たちがよく「第六感」と呼ぶものについて考えるとき、明確に定義するのは難しい概念のように感じられるかもしれない。多くの人は、実際には直感とは何なのかをはっきりとは知らない。単なるひらめきなのだろうか。まぐれ当たりだろうか。それとも、もっと深い何かが心の中で働いているのだろうか。
心理学における、直感と洞察力
専門誌『Frontiers in Psychology(フロンティアーズ・イン・サイコロジー)』に2016年に掲載された研究では、直観についての理解を深めるために、混同されることの多いもう1つの精神的プロセスである洞察と直観がどう異なるのかを探っている。
研究チームは、一見無関係に見える3つの単語が密かに同じ単語と関係するというパズルに注目した。例えば「カッテージ」「スイス」「ケーキ」という単語はすべて「チーズ」という単語と結びつく。
このようなパズルを使って、研究チームはゲームをする人が自分は正しい方向に向かっていることをゆっくりと感じ取っているのか(直感)、それとも突然解答がひらめいたのか(洞察)を追跡した。その結果、直観と洞察が表面的には似ていても、互いに置き換えられないことが示された。この2つは異なる認知メカニズムによるものだ。
どちらも非分析的思考だ。だがその展開の仕方はまったく異なる。簡単に言うと、直観はどちらかといえば、表面下で経験に基づいて徐々に構築される「きっとこう」だ。一方、洞察力とは突然「そうか!」と答えが閃く瞬間のことだ。
言い換えると、この2つはコインの表と裏なのだ。自分がどちらを経験しているかを認識することで、自分の心が人生の複雑な決断をどのように解決しているかをより意識することができる。
自分が直感に頼っていることに気づけば、自分に静かに影響を及ぼしている微妙なパターンや過去の経験にもっと重きを置くようになるかもしれない。これは、人間関係のような、段階的な合図が物を言う分野では役に立つだろう。一方、洞察を認識すると、脳が問題を新しい方法で再構築することに気づく。そのため、創造的な飛躍的進歩や問題解決にはこのような明瞭なアイデアが特に有益かもしれない。



