人はなぜ第六感に頼るのか
論理的に熟考し、十分な情報を得た上で決断するための情報がすべて手元にある場合でも、直感に基づいて決断してしまうことがある。意図的になされた論理的な決断の方が安全な選択肢のように思えるにもかかわらず、直感の方に傾いてしまうのには理由がある。
専門誌『Cognition(コングニッション)』に2022年に掲載された研究がその理由を示している。研究チームは数百人の参加者を対象に5つの実験を行った。その結果、人は直面する意思決定の種類によって直感と熟慮を異なるものとして扱うことが明らかになった。
直感的に選択すると、その選択は本物、あるいは個人的なコミットメントを反映したものだと、意思決定した本人だけでなく他者も思うことが多いことがわかった。対照的に、熟慮的な選択はより計算されたもの、あるいは論理的なものとみなされるのだという。
また、専門家のアドバイスやアルゴリズムが利用可能な場合でも、真正性の重要性を明示的にリマインドされると、直感に頼ったり第六感を信頼したりする傾向が強くなることも示された。これらの効果は、タスクの複雑さや客観性、信頼性といった要因に関係なく持続した。
第六感とは?
第六感は、あなたの内なる真正性の感覚と結びついている可能性がある。直感に従うことはときに、個人的に意味のある選択をすることでもある。これは恋愛や創造性、アイデンティティに関連する選択といった領域で人々が第六感を重視する理由でもある。一方、技術や論理的な分野では熟慮が好まれる。
直感的な選択と論理的な選択の両方が重要だと思われる場合でも、特定の決断が他の決断より簡単に感じられることがある。
人はなぜ重要な決断を下すのが自然に得意なのかを研究したイアン・クラビッチ、ブレア・R・K・シェブリン、ステファニー・M・スミス、ヤン・ハウスフェルドの4人はインタビューでこう説明してくれた。「我々の予想に反して、人は価値の高い決断をそれほど難しいものだとは感じていないことがわかった。言い換えると、価値の低い決断よりも価値の高い決断の方が早く、正確だ」。
4人の研究は、選択肢の価値の認知が意思決定へのアプローチを形成することを示唆している。これは第六感に頼るのか、より慎重な推論に頼るのかに影響する。
第六感に耳を澄ませる
第六感は神秘的なものではない。脳がパターンや個人的な価値観を処理する微妙な方法であり、意識的な推論よりも処理が早いことが多い。だが、直感は干渉を受けないわけではないことを覚えておきたい。つまり、不安や考えすぎ、感情の乱れがこれらのシグナルを歪めたりかき消したりする可能性がある。
重要なのは自己認識を深めることだ。自分の感情や思考パターン、身体からの合図に気づく方法を学ぶことで、本物の直感と恐怖からくる衝動とを見分けることができる。
第六感を信じることは、やみくもに「感覚」に従うことではない。基本的には、自分の内なるレーダーに明晰さと冷静さをもって同調することだ。マインドフルで感情のバランスがとれていれば、直感はコンパスの役割を果たす。これは、本物で意味のある決断をするのに役立つ。
決断を下す前に意識すべきこと
決断を下す前に、自分がどう決断したいのか、それが自分にとってどの程度重要なのか、そしてどのような点で重要なのか、優先順位をつけたい。論理的に考えれば明確な答えが出るような状況でも、合理的に見えることが必ずしも正しいと感じられるとは限らず、あなたにとって理にかなっているとも限らない。本能と理性を統合することで、人生の決断に自信を持って臨むことができ、何が本当に重要なのかをより深く理解することができる。


