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2025.09.21 18:00

「第六感」「直感」「洞察」はどう異なる? 決断の際意識すべきことを心理学者が解説

Andriy Onufriyenko / Getty Images

不安が直感に与える影響

「自分の直感を信じよう」というのはかなりありふれたアドバイスだ。それは役に立つが、直感のように感じたものが、実は不安や考えすぎが転じたものということもある。

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この2つを区別するのが難しい瞬間に直面したことがあるかもしれない。直感はあなたを導いてくれるが、不安を感じたり考えすぎたりしたときに確信を持つことがある。

この重複は混乱させる可能性がある。2017年の研究で、研究者たちは不安が直感の邪魔をするかどうかを調べた。

これを検証するために、研究チームは100人以上の健康な人を無作為に3つのグループに分けて実験を行った。まず、1つのグループには不安を、2つめのグループにはポジティブな気分、そして3つめのグループにはどちらでもない中立な気分を味わってもらった。

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その後、直感を測定するために考案された、意味の一貫性を問うパズルのようなテストに取り組んでもらった。このタスクでは、意識的に推論することなく、物事のつながりを突然感じ取ることができるかどうかで直感を測る。

不安を感じたグループの人は、中立グループやポジティブな気分のグループの人よりも、直感的な意思決定があまりできなかった。興味深いことに、これは性格だけの問題ではなかった。不安の特徴(一般的に不安が強いかどうか)では結果は変わらなかった。直感に頼る能力を阻害したのは、不安を感じているという状態だった。

こうしたことから、不安は隠れたパターンを感知し、直感的な飛躍をする脳の自然な能力を阻害するようだ。つまり、不安なときは「直感」が信頼できるほど働かない可能性がある。その結果、判断が鈍ったり、優柔不断になったりする。この発見は臨床的な意味合いを持ち、不安をコントロールすることで直感的な強みをうまく活用できる可能性があることを示唆している。

直感と考えすぎを区別する

抱いている気持ちが真の直感なのか、それとも単なる考えすぎの結果なのかを見分けられるようになる簡単な方法をいくつか紹介しよう。

スピードと明瞭さに着目する

直感は突然だが明確に感じる。努力しなくても答えが「ただわかる」。理由は説明できなくても落ち着いた確信がある。だが不安は切迫し、雑然とした感じがする。頭の中を駆け巡る思考や「もし〜だったら」という考え、自責の念が渦巻く。明確な結論に達することなく思考が堂々巡りすることが多い。

身体感覚に着目する

直感は「これは正しい気がする」という、方向性が合っているという感覚のような穏やかな後押しや微妙な身体的合図をもたらすかもしれない。だが不安は通常ストレス反応を引き起こし、胸が締め付けられる、手のひらに汗をかく、心臓がドキドキする、落ち着かないといった形で現れることがある。

感情のトーンに着目する

直感は中立的で、プレッシャーを感じることはない。不安は恐怖や懸念、恐れを伴う。洞察ではなく不快感から決断を迫られる。

自分の思考がどこに集中しているかに着目する

直感があれば、答えが自ずと浮かび上がり、解決策に焦点を合わせていることが多い。不安があると、仮定のシナリオにとらわれてしまう。過去と未来の可能性を明確にすることなく、分析しすぎることになる。

かかる時間と労力に着目する

直感は難なく素早く浮かぶ。不安な気持ちは精神的なエネルギーを必要とする。選択肢にこだわり、「もし〜だったら」を繰り返すかもしれない。

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翻訳=溝口慈子

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