地球最古級の岩石の一部に含まれている結晶の化学的性質には、太陽系が宇宙空間を移動している間に起きた隕石衝突の発生周期が記録されている可能性がある。
研究を率いたオーストラリア・カーティン大学の教授で、同大学地球惑星科学部フロンティア地球科学ソリューション研究所内の鉱物系時間スケール研究グループに所属するクリス・カークランドによると、今回の研究では、地球に残る古代の地質記録と天の川銀河(銀河系)の大規模構造を関連づける新たな証拠を提供している。研究結果をまとめた論文は専門誌Physical Review Researchに掲載が受理されている。
カークランドは「頑強な微小鉱物粒子のジルコン(ZrSiO4)結晶が、地球と銀河系による相互作用の比類のない保存記録を提供した」と指摘している。
太陽系は、推定1000億~4000億個の他の恒星系とともに銀河系中心の周りを公転する間に、星間塵(固体微粒子)やガスが豊富な領域である銀河系の複数の渦状腕を周期的に通過する。これにより、太陽系が渦状腕から及ぼされた影響が地球に到達し、最終的に形成過程にある鉱物の内部に閉じ込められて記録されたというのだ。
ジルコンは地球上で最も硬い鉱物の1つだ。2014年には、オーストラリアのジャックヒルズ地域で発見された44億400万年前のジルコンが、地球上で知られている最古の鉱物だと報告された。地球が形成されたのは約46億年前とされている。ジルコンは、溶けたマグマから高温で結晶化する。冷却した後には、結晶を生成したマグマの化学的特徴がジルコンの構造に保存される。
カークランドは「今回の研究では、ジルコン結晶内の化学的な変化を調査し、その結果を銀河系のガスの分布地図と比較することにより、この変化が、恒星とガスの密集した領域である銀河系の渦状腕を太陽系が通過した時期と符合することを確認した」と説明している。
地球は形成されてから最初の数百万年間はマグマオーシャン(マグマの海)で完全に覆われていたため、(地質学の観点からすると極めて退屈な)玄武岩質地殻が形成された。玄武岩質地殻はケイ素の含有量が低く、鉄とマグネシウムの含有量が高いという特徴を持っている。花崗岩やカーボナタイトのような複雑な火成岩は地質記録の後半にしか現れないが、その理由についてはまだ地質学的に解明されていない。



