世界で初めてAndroid端末で3D顔認証をOppoと実現、Appleに7カ月遅れて追随
フアンはOrbbecを創業する前に、シンガポールにある米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究機関「SMART」で博士研究員を務めていた。香港城市大学(CityU)で工学博士号を取得した彼は、シンガポール国立大学で修士号を、北京大学で学士号を取得した。
最初の大きな転機は2017年、アント・グループとアリペイの顔認証決済システムに自社カメラを組み込む契約を結んだことだった。さらに翌年、中国のスマホメーカーOppoと提携し、3D顔認証を可能にした世界初のAndroid端末を発売。これは、アップルが同様の機能をiPhoneに初めて搭載してから、わずか7カ月後のことである。
フアンは2023年の国営メディアのインタビューで当時を振り返り、「Oppoは、初期段階では私たちの会社が小規模だったため、信頼性に不安を抱いていたが、最終的に私たちより信頼できる相手はいないと判断した」と語っていた。「私たちは自信を持っていた。難しかったが、アップルにできるのであれば、私たちにできないはずがないと考えた」。
Orbbecはここ数年で複数の投資家を引き入れてきた。出資者の中には、ソフトバンクから分離した香港拠点の投資会社SAIF Partnersや、台湾の半導体設計大手メディアテックのベンチャー投資部門MediaTek Venturesも名を連ねている。
投資家の支援を受け科創板に上場、AIロボット覇権競争の一角に
Orbbecは、2016年にロボット向け3Dビジョンカメラの供給に参入し、2022年にはこの分野への取り組みを一段と強化した。また、同年には上海のハイテク企業向け市場の「科創板」で、12億元(約240億円)規模の新規株式公開(IPO)を実施した。
「私のモットーは、状況が良いときには最高峰を目指し、最先端産業の最も難しい課題に挑み続ける姿勢だ。ロボット産業で世界的な影響力を獲得することこそが、私たちが挑むべき課題だ」とフアンは8月の香港城市大学とのインタビューで語っていた。


