起業家

2025.09.24 14:00

中国ロボット熱で「3Dビジョンカメラ」株が315%急騰 創業者がビリオネアに

asharkyu / Shutterstock.com

ジャック・マーが支援するアント・グループが約9%を出資、アリペイ採用で決済分野が拡大

売上拡大の一因として、同社は決済用途向け3Dビジョンカメラの販売増を挙げている。ここには、ジャック・マーが支援するアント・グループが導入した顔認証システム向けの製品も含まれる。中国のフィンテック大手の同社のデジタル決済プラットフォーム「アリペイ」では、消費者がスーパーや小売店で顔をスキャンするだけで支払いを済ませることができる。Orbbecの最大の外部投資家でもあるアントは、子会社のShanghai Yunxin Venture Investment(上海雲鋒新創)を通じて同社の9%を保有している。

advertisement

サービスロボットで国内シェア70%超、PuduRoboticsやGausiumが採用

Orbbecの上半期の売上高の内訳は、ロボット関連が31%、その他(詳細非公表)が4%、残りは3Dスキャンによる欠陥検出や組立シミュレーションなどの産業用途による売上だった。現時点で、同社のロボット分野の顧客は主にサービスロボットメーカーだ。具体的には、中国の清掃ロボットを手がけるPudu Robotics(プードゥ・ロボティクス)とGausium(ガウシウム)、介護ロボットのRobocare(ロボケア)、韓国の倉庫ロボットメーカーTwinny(トゥィニー)が含まれる。Orbbecによると、中国のサービスロボット向け3Dビジョンカメラ市場で同社のシェアは70%以上に達している。

Orbbecは最近、ヒューマノイド開発企業も顧客に加え始めた。例えば、同社の先進的な3Dビジョンカメラは、X-HumanoidとUbtech Robotics(ユービーテック・ロボティクス)が共同開発した「天工ウルトラ」や、アント・グループのロボティクス部門に採用されている。さらにOrbbecは、自社モジュールがアント傘下企業が発表した、車輪付き二腕型ロボット「R1」に搭載されていることも認めている。

私募で約380億円を調達、AIビジョン強化で高成長を狙う

中国でのロボットブームを追い風に、Orbbecは9月、最大19億元(約380億円)を私募増資で調達する計画を発表した。調達資金は、ロボット分野向けの「AIビジョンと空間認識技術」の研究開発に充てられる予定で、ここには機械が人間の視覚をより精緻にシミュレーションできるようにするための高性能チップやソフトウェアの開発も含まれる。同社は、ロボット事業の売上高が今後3~5年で年率約100%の複利成長を遂げると見込んでいる。

advertisement
次ページ > 世界で初めてAndroid端末で3D顔認証をOppoと実現、Appleに7カ月遅れて追随

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事