輸出禁止は効果がなかった。ガソリンスタンドの行列は長くなっている。ガソリンは闇市場でしか入手できない場合も多くなっており、そこでの価格は1ガロンあたり9ドル(1リットルあたり約350円)に達するとも言われる。この値段で車を満タンにするのは米国でもかなり痛い出費だが、月収の中央値が10万ルーブル(約18万円)程度のロシアではさらに重い負担になる。
だが、これほど値上がりしてもガソリンを買いたがる人は大勢いる。たしかに、ロシア国民はフィルターを通したニュースにしか接することができないかもしれないが、それでもいま、自国の燃料供給がどういう事態になっているかわかっているからだ。今月できるだけ買いだめしておかなければ、来月にはさらに値上がりし、入手するのもますます難しくなるのだ。実際、出荷が数週間ストップしている製油所もあり、この問題はむしろ広がっている。
激化する攻撃、蓄積されるダメージ
ウクライナは3年近くにわたり、ロシアの石油関連施設を燃やしてきた。燃料タンクなどの施設を攻撃し、派手な爆発を起こしたり、かなりの被害額をもたらしたりした場合も少なくないが、攻撃の規模が小さいため製油所自体は大きな損害を免れてきた。損傷を受けた製油所もほどなくして修復されていた。つまり、攻撃によってロシア側はたしかに金銭的な損失を被ってきたものの、その影響は国民の間で広く感じられていなかった。それがいま、変わりつつある。
米カーネギー国際平和財団から8月に発表された論考は、ずばりこう題されていた。「ロシアはウクライナのドローン攻撃による燃料危機を切り抜けられるか?」。そのなかでは、ロシア石油産業の規模の大きさや、それにダメージを与えることの難しさに言及していた。論考によると、被害を受けた製油所の製油能力はロシア全体の2割ほどにとどまる。また、仮に被害を受けた製油所が修復できなくても、ロシアには不足分を補えるだけの余剰能力がある。被害をさらに受けても、ベラルーシからの輸入で相殺できる可能性もある。


