欧州

2025.09.20 10:00

プーチンの戦争がついにロシア国内に降りかかる 燃料問題で痛み感じ始めた国民

ロシア中部バシコルトスタン共和国ウファで2025年9月13日、製油所がウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けた様子とみられる画像。Xで共有された動画から

ロシア中部バシコルトスタン共和国ウファで2025年9月13日、製油所がウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けた様子とみられる画像。Xで共有された動画から

ロシアはガソリン不足に見舞われている。ウクライナのドローン(無人機)攻撃が激しさを増し、製油所が次から次に炎上してきた結果だ。

ガソリン不足を示す証拠は複数の情報源から得られる。ロシアではドローン攻撃の画像をソーシャルメディアで共有するのは違法だが、それでも人々は製油所が爆発・炎上する様子を捉えた動画を投稿し続けている。そして、ここへきて初めて、こうした攻撃が日常生活に及ぼす影響をめぐるロシア国民の不満の声が、ソーシャルメディアで聞こえ始めた。プーチンの戦争は国内に降りかかってきており、それは全国民に影響を与えることになるだろう。

戦争の代償をガソリンスタンドで払う

ロシアの公式統計では、国内のガソリン平均価格は現在1リットルあたり64.01ルーブル(約113円)で、1カ月で2.6%上昇したとされている。もちろん、これらの数字を信じる人などいない。実際の平均価格は間違いなくもっと高いはずだ。もっとも、値段はもはや問題でなくなってきているのかもしれない。なぜなら、ガソリンの入手自体が難しくなってきているからだ。

ロシアのソーシャルメディアへの投稿に基づく報告によると、ロシア西部ニジニ・ノブゴロド州のソコリスキー地区では9月初めごろ、どのガソリンスタンドも数日間、完全に品切れになっていた。地元住民は近隣の都市まで出向いて車や燃料缶に給油していたという。

同州だけではない。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのVisionerがX(旧ツイッター)に書いているところによれば、ガソリン不足は以前に報告されていた極東地域と占領下クリミア半島に加え、いまでは10の地域(リャザニ、ニジニ・ノブゴロド、サラトフ、サマラ、ウリヤノフスク、ペンザ、ロストフ、アストラハン各州とカルムイク、タタールスタン両共和国)に広がっている。

米シンクタンクの戦争研究所によると、ロシアの国営メディアもガソリン不足を公然と取り上げ始めているが、多くの場合、矮小化し、ありきたりの原因を持ち出している。ロイター通信によれば、ロシアは7月末、ガソリンの輸出を禁止したが、その際に挙げた理由は夏の旅行や穀物の収穫による需要の増加だった。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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