「押さえつけている」のは誰か
この調査結果は、トールポピー症候群がいかに女性の職場経験に大きな影響を及ぼしているかを明らかにしている。
かなりの割合の女性が、職場で「押さえつけ」られていると報告している。「押さえつけ」行為は情報を隠したり貢献を軽視したりするような行動から、よりあからさまな形のいじめや排除に至るまで多岐にわたった。
誰が「押さえつけ」を行っているかという点では、それが一方向からのものではないことが調査結果で示されている。女性たちは上司だけでなく同僚や時には顧客からも押さえつけられていると述べている。
2011年の研究では、組織に属する女性たちが、有能で、成功しており、賞賛に値すると考える他の女性たちに対してどのような態度をとるかを理解しようとトールポピー症候群を調査した。
研究者らは白人女性40人を対象にフォーカスグループ(定性的研究の一種)を実施し、収集したデータから理論を導き出す手法を使って話の内容を分析した。その結果、「目立っている」と考える女性と接するときに否定的なコミュニケーション戦略をとりがちであることがわかった。
これらのコミュニケーション戦略には批判、ゴシップ、貶める行動などが含まれる。
多くの女性が成功のパラドックスを経験
この研究は、女性の職場の力学が競争や社会的比較によって形成され得ることを浮き彫りにしている。結果として優秀な同僚に対して非協力的、あるいは有害な行動をとったりすることがある。
従って、多くの女性が成功のパラドックスを経験している。実績をあげればあげるほど、女性はこうした攻撃に直面する可能性が高くなる。そのため、多くの優秀な女性は、認められるのではなく嫉妬や軽蔑、社会的孤立にあっていると述べている。成功そのものが、多くの人にとって心理的なリスク要因になっている。
世界中の職場でこのような力学がみられる。その代償は個人にかかるものであると同時に組織が払うものでもある。表面的には、女性のウェルビーイングだけが影響を受けているように見えるかもしれないが、会社の業績、そして定着率にまで影響を及ぼす可能性がある。
「経営幹部への昇進を公然と約束されていたのに、後になって、そのチャンスに対してみるからに野心的、あるいは前のめりすぎると言われ、昇進を見送られた。私は完全にやる気を失い、またバツが悪く、新しい仕事を探している」と、「最も目立つ人」に関するレポートの別の参加者は話している。


