バイオ

2025.09.27 09:15

知的生産性アップになるか 刑事コロンボに学ぶ語彙検索のコツ

Getty Images

Getty Images

刑事コロンボが「妙ですなぁ、たしか……」と考え込むときに、葉巻を持った手でしきりに顔を触ったりする。あれは単なるクセではない。誰もがやるあの行動には、じつは認知処理のための重要な意味があることがわかった。

会話中の身振り手振りには、コミュニケーションを助ける働きがある。だが自分の顔を触る自己接触行動はコミュニケーションには直接影響せず、ストレスや緊張を和らげる行動だとされてきた。近年の研究では、四文字熟語を思い出す実験で、手を自由に動かせる状態の実験参加者の正答率が高いことが示されたほか、言葉が喉まで出かかっている状態になると手で顔を触る頻度が高くなることが認められている。しかし、手で顔を触ることと言葉が思い出せることに関係があるのかは実証されてこなかった。

両手が自由に動かせる「統制条件」、両手で頬を触りながら課題に取り組む「自己接触条件」、棒を両手で持ち手を動かせなくさせる「抑制条件」の3グループに分けて実験した。
両手が自由に動かせる「統制条件」、両手で頬を触りながら課題に取り組む「自己接触条件」、棒を両手で持ち手を動かせなくさせる「抑制条件」の3グループに分けて実験した。

そこで、早稲田大学人間科学学術院の関根和生准教授らによる研究チームは、自己接触行動は語彙検索を助けるのかを実験で確かめることにした。実験参加者は日本語を母国語とする平均年齢20歳の60人。ことわざや四文字熟語の定義を聞いて、それに対応する言葉を答えるという課題に挑んでもらった。参加者は、手が自由に動かせるグループ、両手で頬を触りながら課題に答えるグループ、両手を動かせなくしたグループの3つに分けられた。

「自己接触条件」の正答率が有意に高かった。
「自己接触条件」の正答率が有意に高かった。

すると、両手で頬を触りながら答えるグループの正答率が明らかに高かった。また、言葉が喉まで出かかっている状態になったとき、両手が自由に使えるグループは手で顔を触る回数が増えた。このことから、手で顔を触る自己接触行動には語彙検索を助ける効果があり、それが「認知過程を支える身体的戦略」であることが明らかにされた。

今後は、対象年齢層を広げ、自然な会話での検証や、脳活動を測定してそのメカニズムを解明するという。言葉が出そうで出ないとき、もう無意識にやっているだろうが、両手で顔を触るといいかもしれない。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事