米連邦準備制度理事会(FRB)は米国時間9月17日、利下げを決定した。これは数カ月にわたりドナルド・トランプ大統領からの圧力と批判を受けてのものであり、FRBは年内にさらなる利下げを行う可能性を示した。
連邦公開市場委員会(FOMC)は11対1の多数決で利下げを可決し、政策金利を現状から0.25ポイント引き下げ、4%から4.25%のレンジとした。この政策金利は昨年12月以降、据え置かれていた。トランプがアドリアナ・クーグラー理事の欠員を埋めるために任命した新理事のスティーブン・ミランが唯一の反対票を投じた。
また、FOMCは、労働市場の弱まりに対する懸念から、年末までにさらに2回の利下げが見込まれると述べた。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツール(FOMCでの政策金利操作に関する確率分析ツール)によれば、投資家は10月と12月に追加でそれぞれ0.25ポイントの利下げを予想しており、年末までに政策金利は3.5%から3.75%のレンジに達する可能性があると見込まれている。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト、デービッド・メリクルはメモの中で、今回のFOMCにおける「重要な論点」は、FRBが「これが連続的な利下げの初動となる可能性が高い」と言及するかどうかであり、FRBは「労働市場の軟化」を認めるだろうと予想する一方で、「10月の利下げには言及しない」可能性もあると書いていた。
トランプはFRB議長を務めるジェローム・パウエルに対し、利下げを行うのが「遅すぎる」と繰り返し非難し、15日には自身が立ち上げたSNS、トゥルース・ソーシャルで「(パウエルは)今すぐ金利を下げなければならない。そして彼が考えていた以上に大きく下げなければならない」と投稿した。
FRBは年末までに最大2回、それぞれ0.25ポイントの利下げを予定している。FOMCの7月会合では「ほぼ全員」の金融当局者が金利を現在のレンジに維持することが「適切」と考えていることが示されていた。パウエルは、雇用とインフレに関する新しいデータを引き続き注視していくと述べた。FRBは完全雇用と物価安定という二重の使命を掲げており、インフレ率はFRBの目標である2%を上回り、8月には予想通り悪化して2.9%となった。一方、失業率は4.3%に上昇し、新規雇用者数は予測を大きく下回っていた。
FRB理事のリサ・クックは、今回のFOMCにも出席した。これは、控訴裁判所がトランプによる解任要求を却下したためである。クックは、彼女が所有する2つの不動産をともに住宅用と申告して住宅ローン詐欺を働いたとして、連邦住宅金融局(FHFA)局長のビル・パルテから非難され、それを受けたトランプはクックに辞任を求めていた。クックはこれを否定し、Forbesへの声明で「ツイートで持ち上がった疑念により自分の職を辞任するよう脅迫されたとしても、私にはそうするつもりはまったくない」と述べた。ホワイトハウスは判決を不服として、上訴する意向を示している。



